1.結婚観の変遷

結婚観の変遷

 結婚制度の意義は、物質的豊かさや人権意識の向上から、家と家の結びつきや経済的な生活基盤、子供の育成の基盤という意味から、次第に精神的メリットを求めるというものに変化してきたということは、すでに述べてきました。
 結婚制度の存在意義は、時代によっていろいろな形で問われてきました。それは、愛は不滅ではないのに、男女を長く結びつける制度が必要なのか?本当に子供の育成に必要不可欠なのかという形で問題化されてきたのです。
 旧来、女性は男性の経済的基盤に依存し、子育てもその経済的基盤の上で成り立つものと考えられてきた時代もありました。しかし、経済的基盤という意味では、無理に結婚という形にこだわる必要がない時代になり、結婚制度の存続意義さえ問われてしまっています。
 ただ、男女の関係を法的に保護することは、安定した家庭生活など、まだまだ利用価値がありますので、結婚制度を利用する側も、結婚制度に新しい存在意義を見出さなくてはならなくなっています。

結婚相談所サイドでの対応
 結婚相談所利用者の結婚観は、経済的側面と精神的側面が並存して、精神的メリットの方にウエイトが置かれるようにシフトしてきているのに。結婚相談所での対応、とりわけデータマッチングなどは、経済的基盤を中心とした時代の旧来のものから変化はしていません。
 もちろん、心理テストなど、それなりの工夫は見られるものの、まだまだ旧来のお見合いの域をでないわけです。
 年収、職業、学歴など経済的要素は、今でも必須の要素であることにかわりがないのですが、価値観の要素が欠如しているわけです。
 確かに、女性は経済的基盤を重視して、男性の年収と、職業と学歴をあわせて男性の将来性などを推定して相手を選ぶという側面はあるかもしれません。しかし、相手の経済的基盤だけで相手が選択できると考えるのは明らかな間違いで、そのような材料だけでは相手を選べるわけがありません。
 趣味や志向の欄もありますが、多くの場合は参考資料で、これをマッチングの材料にするわけではないのです。
 年収や職業などの要素も必要ですが、「家族生活はまずお金」「お金よりも、家庭」、「夫婦共稼ぎ」、「女性も自己実現のために社会で活躍するべき」「女性は家庭を守るべき」、「男性は仕事より家庭を大切にするべき」「男性はまず仕事を大切にするべき」などでの価値観や結婚後のライフスタイルでのデータマッチングの方がより実質的であると考えられます。
 この点は、実際に相手に会ってみて、初めてわかることが多いのでしょう。結婚相談所側としても、あらかじめ設定した項目に対してイエス・ノーで答えさせるアンケートではなく、結婚相手の選択基準を白紙の状態から模索してゆくべき時代になったと考えられます。

お見合いの意味の変遷
 旧来、お見合いは結婚相手を決める儀式であって、恋愛感情は関係なかったわけですが、現在では、出会いの一つの形式と捉えられています。従って、恋愛という要素も大きくなりました。結婚観が精神的メリットの方にシフトした帰結ともいえます。
 ところが、結婚相談所の即物的データで相手選びすることを強いられてしまい、閉口してしまうという状況は続いているわけです。
 これを是正するために、パーティ、同好会活動などの工夫が試みられているわけですが、今のところ十分な成果があるとは思えないわけです。
 これも、相談所と利用者側の意識のギャップの問題と言えましょう。


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