7.結婚相談所のしくみ(2)
結婚相談所のシステム
 前章では、お見合いについて仲人マニュアル風に書きましたが、ここでは、結婚相談所のシステムについて概略を書きます。結婚相談所や結婚情報サービス(以下、どちらも結婚相談所と書きます)は、会社によってシステムの違いがありますし、企業秘密もありますので、個々の会社について詳しくは書けませんが、ある程度系統だてて書きます。

会員の募集
 結婚相談所で一番の課題は、会員の獲得です。会員が少ないと、いかに既存の会員の希望にそったお見合いを設定しようにも、できないことになります。
 人の口コミでもいいのですが、基本的には雑誌などの広告で結婚相談所の存在を知らせなければなりません。また、企業の福利厚生を取り入れてもらうという方法もあります。
 また、ある業種の中での結婚相談所もありますが、この場合は、業界内のPRによって会員を集めることになります。

 結婚相談所に入会する会員は、20代後半から入会する事が多く、さらに30代前半の独身者の比率は男性で42%、女性で26%程度ですので(平成12年)結婚相談所の入所者では、ざっと単純計算して30代前半で61%程度となります。これは、現実の比率に近いのではないでしようか。
 
 実際は、もつと女性会員の比率は低いところが沢山あり、女性会員を獲得するのに各社力をそそいでいます。女性会員が増えると、男性会員も増えるからです。男女比率が大きすぎる結婚相談所では、お見合い自体の成立が困難になります。
 そこで、女性には会費を免除したり、割引したりと、何らかの特典があるものです。逆に、男性がハイソサエティである場合は、この逆になります。
 
 ここで結婚相談所への苦情としては、勧誘が強引過ぎると言うトラブルもあると聞きます。一般的に、結婚相談所は、広告の割には、料金やサービスの内容、成婚率の数字などが非公開か、都合の良い部分のみを公開しているところが散見されます。
 商業の基本としては、料金、実績、サービス内容は、正確に公示するべきであり、入会してから「話が違う。」という苦情を受けるようでは永続的会員獲得は難しくなるでしょう。
 
 ここで、結婚情報サービスは、情報を提供すれば免責されて、一度もお見合いできなくても詐欺ではないという見解がありますが、これは妥当ではありません。
 なぜなら、契約上情報を提供するということになっていますが、入会者が契約に至る動機は、情報を受け取ることではなく、当然に、お見合いすることです。したがって、契約の前提となる双方の意思の一致がありません。
 場合によっては、契約が無効になります(錯誤無効、民法95条前段)。また、故意に相手を錯誤におとし入れ、その相手方の錯誤に乗じて金銭を受け取ると詐欺となることがあります。

 もっとも、相手方に「お見合いが成立しない事があるなどの説明が十分になされたり、会員の方でサービスの利用が不十分の場合は、その限りではありません。
 その点、入会時の説明は結婚相談所がわも、入会者がわも注意するべきです。

 また、会社の数字にしても、経営状態がわるいと、勧誘が強引になり、そのうえ入会後のサービスは、ほとんどなしという状態になります。
 たとえば、入会時に一括払いの会社の場合、収入の主なものは、新入会員の会費だけであり、単純に社員1人当たり月に2人は入会させないと、人件費も出ません。実際に、結婚相談所の社員は、会員のケアというより、単なる勧誘員である場合が多いのです。会員を成婚させても会社からは何も評価されなくて、新入会員獲得は評価されるというケースも聞き及んでおります。

会員のデータ管理
 結婚相談所では、多くの会員の個人情報を管理することになります。また、社内的にも、社外的にも情報が不正に外部に流出しないようにする義務があります。
 また、会員同士は、相手の情報を信頼してサービスを利用しますので、データは正確であることが求められます。誤ったデータは、会員の信頼を裏切る事になります。それゆえ、独身であることの証明や学歴、資格、年収など証明書の提示を求めることになります。
 データは、正確かつ、できうる限りのセキュリティーが要求されるのです。

マッチング
 マッチングとは、男女双方に相手のデータを送ることをいうのですが、会員の片方にデータを送り、その返事を他方に伝えるというシステムと、マッチングした双方に同時にデータを送る場合があります。
 また、仲人系の会社では、会員に結婚相談所に来所してもらい、データ閲覧で、お見合いを申し込む場合や仲人との面談によって、お見合いをセットする場合もあります。
 
 ここで、マッチングで問題となっているのがデータマッチングです。データマッチングは、会員のプロフィールを細かく記録し、年齢、学歴、職歴、身長、年収、職業などの希望条件を記録します。
 たとえば、Aという人が希望した条件に該当するプロフィールデータに該当するBという人がいたとします。ここで、マッチングが成立するには、Aという人のプロフィールもBという人が出した希望条件に該当しなくてはなりません。

 ところで、希望条件は、一つ希望するごとに、該当者が半分半分と減ってゆきます(このサイトの「お見合い活動を科学する」のデータマッチングのページ参照)。仮に、相手の異性が、希望条件を全て不問にしたとしても、5つも条件を付ければ、3〜5%程度になってしまいます。
 もしも、相手方も条件をつければ、マッチングの可能性は限りなくゼロとなります。

 そこで、ほとんどの会は、希望条件に会わない人を全て排除したりはしません。絶対的に排除される項目もありますが、ほとんどは、誰から紹介するかの優先順位を付けるだけにとどまっています。
 ただ、会員のうち、誰を最初に紹介するのか、その次は誰かという順番をつけるにしても、居住地域、年齢、年収、身長などのうち、どれを重視するのか、重視したとしても、どのくらいの重視なのかが問題となります。たとえば、身長が希望よりも1センチずれるごとに何ポイント違うのか。年収1万円の違いを1点として、年齢1年差は何ポイントで計算しているのかなど、重要度のポイントは、会社によってまちまちであります。
 
 しかし、何を重視するかは、個人によってまちまちです。これは、女性でも、男性の身長にこだわる人もいますし、年収にこだわる人もいるでしょう。
 会社の内部でのデータ処理によって、一律に各データの重要度の比率を処理される限りは、本当は、希望条件にそったマッチングとはいえないのです。

 このように、条件に合わない人を排除する形式では、わずか数回の会員紹介で紹介可能人数はゼロになり、希望条件をただの優先順位の資料ととらえるならば、会員の意思とは、かけ離れたものになります。
 また、前章に書いたの仲人さんの面談と比較すると、コンピューターデータマッチングの妥当性は疑問視されています。


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