1.時代背景
未婚率の上昇
 最近の国勢調査によると、25〜29歳の未婚率は男性で69.3%、女性で58.2%で、30〜34歳では男性が42.9%、女性が26.6%となっています。これは、平成12年の数字で、平成7年よりも30〜34歳の年代層でいうと、男性5.6ポイント、女性6.9ポイント上昇しています。
 時代をさかのぼってみると、20年前だと、25〜29歳の既婚率は77.8%、30〜34歳で89.8%、35〜39歳で90.6%だったのです。
 29歳の時点で見ると、20年前は未婚が2割だったのが、今では6割と、全く既婚と未婚の割合が逆転しています。

 晩婚化、未婚の時代とも言われています。しかし、その傾向は、いつごろから出てきたのか興味が出てきて過去の国勢調査を見てみたのですが、昭和50年の国勢調査から平成12年の国勢調査まで、毎年6〜7%ずつ未婚率が上昇していました。
 私の主観では、バブル期をきっかけに、そういう傾向が出たのかなという先入観があったたのですが、転機になる時代は見出せず、グラフにしたら、ほぼ直線的に未婚率が高くなっているのです。

晩婚化の原因
 それでは、何が原因で晩婚化が進んだのでしょうか。この点は国勢調査をした総務省の各部会などで研究されていますが、統計学的に決定的な理由はないようです。
 女性の高学歴化と社会進出が原因という見解もありますが、学歴別の既婚率もあわせて考えても、女性の学歴と結婚の時期に因果関係は見出せなかったようです。
 多少は、そういう傾向はあるものの、昭和50年と平成12年との大きな落差を導く原因とはならなかったみたいです。

 一時のバブル経済によって、女性も豊かになったという見解もありますが、この傾向はバブル前から現れていて、バブル期、バブル崩壊期も傾向に変化はないので、この見解も退けられます。
 また、この見解に対しては、土地などの地価も上昇して夫婦共稼ぎを余儀なくされ、それに対して保育所の少なさなど子育ての環境が不十分で、豊かどころか、かえって結婚しずらい環境になったのが原因ではないかという批判もあります。

 おもうに、結婚は個人の人生設計に関しての価値観によるところが大きく、経済的背景によって特徴ある傾向は見出せず、社会一般の価値観の変化が原因と考えられます。
 もちろん、経済的ゆたかさにより、パラサイトシングルと言われる親元の経済力に依存した生活もできるようになりましたし、誰でも1人暮らしで生活もできるようになりました。
 それに引き換え、結婚でのメリットとデメリットを考えると、結婚でのメリットは、家族がもてる、安心する場所がある、人間的に成長できるなどの精神的理由が多く、デメリットは、女性では家事の負担が増える、行動が制限されるなどの実生活上のものがあり、男女ともに、使えるお金が少なくなるなど精神的以外の理由がついてくるのです。

 これらを考えると、現代では、結婚生活を支えるものは愛や心の安心などの精神的なものが多くなり、精神的メリットが経済的、生活事実的なデメリットを上回らないと、結婚には至れないと考えられるのです。
 人は必ず結婚しなくてはならないという命題が崩れてしまい、逆に「どうして結婚しなくてはならないのか。」という問いが投げかけられ、結婚に対する価値観が多様化したものと考えられます。

結婚相談所の形骸化
 先述した、晩婚化の原因としては、地域コミュニティや親族間の結合の崩壊も原因と考えられるのです。昔は、地域や親戚に「お見合いおばさん」という存在がいて、お見合いの世話をしていたものですが、最近では、そういう人を見つけるのさえ困難になってきました。
 また、かっては恋愛結婚、見合い結婚というものがはっきりしていて、お見合いというのは恋愛感情は関係なしに単に結婚相手を決める儀式だったのです。

 家の釣りあいや、本人同士の釣りあいを考え、お見合い本番で特に相手が嫌いというのでなければ、それで1日で結婚が決まり、次回は結納という運びとなったのです。
 現在では、1日で決めるというのは少なくなったのですが、一般の見合いでは、普通は1ヶ月以内、長くても3か月というのが相場です。しかし、これも最近崩れてきました。

 結婚相談所の多くも、このお見合いという儀式を前提にされており、お見合いは結婚相手を決める儀式という前提が残っています。
 しかし、結婚相談所の利用者自体は、結婚観が変わってしまい、経済的、生活事実上のデメリットを上回る精神的理由がないと結婚には至りません。
 換言すると、恋愛も求めているのです。したがって、お見合いというよりは、出会いのきっかけを作るとしか利用者は考えていない場合が多いのです。
 それに対して、結婚相談所の方は、利用者が「お見合いという儀式を理解して、自ら積極的にお見合いと言う儀式を行う人。」という前提を崩していません。存在しないような人を想定しての運営なのです。
 これにより、結婚相談所というものは、お見合いできないところとなり、だらだらと異性のデータを郵送して、たまにパーティを主催してイベントで儲けているところという存在になってしまったのです。


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