パレンタインパーティ
 
 外国では、バレンタインといえば、親しい人に花束やカードを贈ったりするけれど、日本だけは、女性から男性にチョコレートをあげる日になっている。それは、とやかく言わないけれど、バレンタインパーティというのは、だいたい女性から男性に告白する形のパーティとなる。
 しかし、タイトルは別にして、実質的には、いつもの立食パーティである。5分毎にテーブル移動しながら次のテーブルに移る。一つのテーブルでは、実質1人しか話は出来ない。

 前半は、男性がテーブルチェンジし、後半は女性がテーブルチェンジする。実は普通のパーティは男性中心になっている。なぜなら、男性がテーブルチェンジで移動するので、次のテーブルで誰と話をするのかは、ある程度男性の自由だけれど、その場で待っているだけの女性の方は、あまり相手を選択できないからだ。

 いつもより早く家を出た私は、特急電車で会場まで行く、会場は駅からすぐ近くだ。会場に着くと早すぎて、会場にはまだ入れない。
 参加者が集まり、会場に入れる時間だけれど、私は、少し遅れて入る事にした。参加者で、誰に的を絞るかを考える為に、観察しているのだ。
 それと、最初のテーブルでのポジショニングは重要だ。それは、長くいる場合が多く、立食の時間も最初のテーブルになることが多いからだ。
 最初にテーブルに着くと、周囲に誰が来るか分からない。さらに言うと、男性同士女性同士が固まることがあるので、最初にテーブルに着くと周囲に同性が集まってしまい異性との話をする機会が奪われてしまう。
 それでいて、あまり遅く着くと、今度はいいなと思う女性がすでに他の男性に囲まれていたりするのでタイミングは難しい。
 会場をうろうろしてテーブルに直行しないのは、誰と話をするのか会場内をチェックするだけでなく、自分のテーブルに着くタイミングを見ているわけなのだ。
 自分がテーブルチェンジで次の席に行ける機会の少ない女性としても、遅れてきて、好きなポジションに着くということは数少ないチャンスを活かすことになる。
 さらに、初心者ばっかりが集まるテーブルでは、最初は男性同士、女性同士が集まる。だから、このポディション争いは、そんなに難しい事ではない。

 受付を済ませると、指定されたテーブルへ。今日は、少し、いつもと違った。テーブルに着くなり、隣の女性と目が合い、自然に話し始めた。彼女は、初めてのパーティらしい。
 相性の合う相手というのは、自然に話が進むので、特にテクニックとか作戦はいらない。私は、もう一点に絞っていた。
 いつもは、話題作りに苦労するものだし、自己紹介カードでも、特に同じ趣味でないかぎり、なかなか共通の話題は作りにくい。
 しかも、考えている時間はないのだ、普通は挨拶から3分くらいしかない。しかし、お互いに相手への興味があると、話題は何であっても話は弾む。私は普段いろいろと事前の準備をするように言っているが、それすら不要なのだ。
 もちろん、相手が良すぎて緊張してしまい、うまく話せないことがある。そんなときは、事前準備がものを言うのだから、「相性が合えば何でもうまくいく。」というのをあてにして準備をしなくていいわけではない。
 
 この日も、いつものように、テーブル移動してゆくが、あまりいい人は見つからない。途中で、少し休憩があった。私は最初の彼女の所に行って話をした。いや、それ以外の時でも、女性が多くて、彼女が誰とも話していないときは、出張していた。
 男性が多くて、あぶれてしまったとき、そのときのテーブルで異性との会話がとぎれて早く終わったときなど、彼女の視界に入るところにいた。なにぶん気になりますから。ただ、相手が私を気に入っていない場合は煙たがられて逆効果だからね。

 さらに、最後のフリータイムでも、ずっとツーショット。(さらに、パーティ終了後もツーショットだった。)
 この日カップルになれなくても、後日3人まで交際申し込みできるが、もうこのパターンになると、そんな事は考える必要はない。全くの1点勝負だ。
 実際、この日は、あまりにたくさんの事を喋ったけれど、内容はあまり覚えていない。お互いの目を注視して、とてもくつろいでいた。
 そして、告白タイム、女性が意中の男性にチョコレートを渡すのだ。
 もっとも、事前に希望の相手の番号を書いた紙をスタッフに渡していて、誰と誰がカップルになっているのかは、分かっている。カップルが成立している女性のみにチョコレートは渡される。後は、単なるセレモニーだ。
 もっとも、男性が告白なら、「ごめんなさい」m(_ _)m
 という事も、ありえる形になっていたかもね。最近は、パーティ中カップルになったら、自主的に2人でスタッフに申し出て紙を出し、数日内にお互いの本紹介書が送られるようになっている。
 カップルになると、前のステージに出て、チョコレートを貰い、カップルになれた人たちは、参加者に拍手されながらカップルで退場という運びになる。私は、いつも、拍手してカップルになった人達を送り出す側なのだけれど。今日は、彼女の持っているチョコレートを貰う事を知っていた。


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機内スープ 120-60