博多2001年クリスマス
 司法試験受験を決めた私は、このところお見合いパーティは控えていた。生活の不安もあるけれど、できるだけ休日は勉強したかったからだ。しかし、年齢的な理由もあり、全くお見合いをしないというわけにもいかない。しかし、義理のお見合いというものは100%断ってきた。
 博多のパーティというか、九州のクリスマスパーティは過去は、必ず参加してきた。そういう習慣的理由もあったし、少しは気分転換もと考えたかもしれない。それはともかく、参加申し込みをして、抽選で参加が決まった。
 朝早く家を出た私は、新幹線の中ではひたすら憲法を勉強していた。2時間半で博多到着、勉強していると、あっという間の時間だ。
 少し早い昼食を取り、ホテルにチェックイン。夕方まで刑法の勉強をした。気が付けば、パーティまであと1時間と少し。そろそろ行こうか。
 身支度を整え、髪をとかし、博多の街へ。パーティ会場まで徒歩で博多の街を歩く。そして、予定通り30分前に会場到着。パーティ中に相手に見せる「自己紹介カード」に簡単な自己紹介を記入する。
 ここで、知り合いの東京勢2名に会う(笑)。よく会うものだ、ここ何年か、よく顔を会わせる。彼らは九州の女性とぜひとも結婚するという意志が固いのだ。それは、それでいいのだけれど、お金がかかるね。まあ、私もだけれど・・・。
 最近大阪からの遠征組は私1人だけれど、みんな近頃顔を見ない。大阪は不況だからね、東京も不況だけれど大阪はもっとひどい。それとも、あきらめたか、思いを遂げたのか。
 まあ、そんな事はどうでもいいか・・・。
 大阪のパーティは地元であるというので甘えがあるような気がする。前回のパーティでは、見知らぬ土地で誰も知り合いはいなかった。全て、自分の考えで動かなくてはならないし、知り合いと馴れ合いの行動というものも無い。また、地元の人達から冷たい視線を浴びる事もある。そういう意識が一層増したものだけれど。知り合いに会うと緊張がほぐれる。
 過去には、全く知らない土地、全く知らない人達の中に入って、二次会でも幹事役のような中心人物となる事が多かった。今日も頑張れるだろう。
 このあと、どうなるかは全くの白紙なのだ。

パーティ開始
 まだ時間はあるが、パーティ会場に入る、とりあえず会場内を一周する。この手のパーティでは、時間ごとにテーブルチェンジする。一つのテーブルでは事実上1人としか話はできない。効率よくテーブルを廻るには、テーブルを移る前に次に話す相手を決めておき、人より早く、その人の所に行き自己紹介カードを渡すことだ。
 普通、自己紹介カードを渡され「お願いします」と誠実に頭を下げれば殆んどの人は相手にしてくれる。それでも駄目な事はあるけれど、それは稀だし、駄目でもともとなのだ。「こんな綺麗な人が自分と話してくれるかな」と遠慮していてはいけない。お見合いパーティは恥をかきに来ているという気持ちでいいと思う。

 最初に会場を一周しながら、誰と話すかを決めていく、もちろん外見だけになるが、この時点では仕方ない、それに雰囲気も判断材料になる、自分と合いそうかどうかは、後で話をしてみてから判断することだ。

 さて、パーティ開始。しかし、まずは、食事時間。乾杯の挨拶の後、バイキング形式で食事を取る。最初のテーブルで自由に話をする。
 しかし、私は、話がしたいと思う人がそのテーブルにいなかった。それで、バイキングの食事を取りに行きながら、もう一度会場をうろうろする。パーティ開始以前に会場に来ていなかった人もいるので、再び誰と話すかチェックするのだ。時間は無駄にできないし、私は、いつのパーティに参加する時も「今日、お嫁さんを決める」と決心して臨んでいる。

 食べ物を取るのに並んでいると、自分の前にいる女性に魅かれた、実は先ほどの会場巡回でも目をつけていた人だ。
 「話しかけようかな・・・」と思ったけれど、ちょっと自分と不釣合いで良すぎるのかなと思ってしまったので、話しかけそこねた。
 普通なら、何も考える暇も無く話しかけるのだけれど、ブランクがあって躊躇した。
 こういう時は、何もなかったように無関心に振舞う。
 タイミングを逃した場合の次善の策だ。なぜなら、意識しているような仕草を悟られて、さらに何のリアクションも無い場合120%の女性は、「この男、気色悪い。」としか思ってくれないからだ。

 フリーで話しかける場合は、この間合いが大切で、その人のパーソナルゾーンに入って、相手が自分の存在を認識してから2秒のタイミングで勝負は決まる。
 あいにく、最初のテーブルはPASS。男性の人数が1人多いので助かった。次のテーブルに人よりも移動しやすいのでPASSもテクニックのうちだ。

 次のテーブルに目を走らせる。今日の話題をいくつか構想しておく。次のテーブルでも目ぼしい人はいなかったけれど、話してみるといい人はいるからPASSだけが能ではない。外見だけではなく、話をすれば意外といい人はいるものだ。

 「こんばんは、大阪から来ました。robasanです。」m(_ _)m
 「へぇー、薬剤師さんですか」
 「はい、病院で薬剤師しています。」
 「大阪から、わざわざ来たのですか?」
 「はい、私は九州の女性にあこがれていて、是非九州の女性とお付き合いしたいと思っているからです。」
 「へえ、そうなんですか。九州の女性は他の所の人と違いますか?」
 「やさしいし、情が深いと思いますよ、やっぱり」
 「でも、性格きついかもしれませんよ」
 「芯が強いと思っています」(笑)
 「派遣社員って、普通の事務ですよね」←(注)これは失言の部類です
 「まあそうです、経理しています」←上の問いでは、これで話題は途切れる
 しまった(  ̄□ ̄;)!!注意力に欠けている、どんな相手でも全力で話さないと失礼だし自分の為にならない。よく話したら、この人は自分に合う人かもしれないのに、そこまで相手に踏み込む可能性を自分でつぶしている。
 (注)「普通の」という言葉は避ける、相手はバカにされたような気になるかもしれない。
 (注)問いかけは、相手が沢山の内容を話しやすいような形にする。YES,NOで答えられる問いは、それで会話が途切れる。おしまい。

 そのあと、休日は何をしているかを聴いたけれど、これも駄目。さっきの失言で終わっている。

 いかん、いかん。気を取り直して、次行こう。実際、こういう時は、相手の自己紹介カードを見て趣味でも、職業でも、食べ物の好みでもいいから共通の話題で盛り上がるのがいい。
 それで5分間の時間は維持できる。広く浅く話すと、印象は薄くなる。相手に自分をPRしてもいいし、相手を知ってもいい。しかし、一番いいのは、たった5分で仲良くなって、相手に「もう一度会ってみたい」と思わせる事だから。話題は1つか2つでいい。自己紹介は時間の無駄だ。
 その次のテーブルでは、かなり若い女性に話しかけたが、軽く会釈はしてくれたが。自己紹介カードを受け取ってくれない。拒否反応。まあ仕方ない、私も軽く頭を下げて、その場を去り、別の女性に自己紹介カードを渡す。
 相手の自己紹介カードを見ると、共通の趣味などもない。困ったな(−。−)ボソッ
 今日はルーチンで流れているようにおもう。というか、なんとなく調子に乗り切れない。
 こういう場合、相手が「薬剤師」に対して興味をもってくれたら、相手の質問に答えるという形もある。しかし、単なる医薬品服薬相談で終わるかもしれないという諸刃の剣。
 何か相手のツボが分かると、その1点を突付くだけで、それ以降は相手が洪水のように喋ってくれるというパターンは最高なんだけれど(少なくとも、こちらは何も考えなくても相手は好印象を持ってくれる可能性大)。
 しかし、相手のツボがつかめない時は、こちらで押すしかない。
 「こんにちは、大阪から来たrobasanです。司法試験を目指して勉強中です。」
 「えっ、司法試験!!薬剤師さんですよね・・・」
 「ええ、薬剤師として働きながら勉強しています」
 「どうして、司法試験を受けるのですか?」
 「それは、悪徳弁護士になって金儲けしたいからで〜す」(笑)
 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
 外した、終わった(^_^;)

追い込み
 さて、次のテーブルでは気合というか、間合いが合った。
 私より1回りくらい年下のような女性だった。全く、このテーブルでは目標とする女性はいなかったので出会い頭だった。若いと思い、私は少し躊躇したが、彼女は自然に私の自己紹介カードを取ってくれた。
 「薬剤師さんですか。」という、ありきたりの会話から、どんな所に住んでいるかの、ありきたりの話題。
 しかし、何だかお互いに親しみは感じているような気がしたので。もうすぐテーブルチェンジかなと思ったその時、私は会話を止めて、少し間を置き。言った。
 「あなたとお付き合いしたいと思いますが。後日会って頂けますか( ̄〜 ̄)?」
 で、テーブルチェンジの声、彼女は私の顔を見たまま別れ際に言った
 「はい、よろしくお願いします」

 実際は、誘ってから話題を作るという手もあるの。もちろん、行きたいところ、デートスポットがピッタリ会えばいい、例えば、
 「ドライブが趣味なんですね、どのあたり走るんですか?」
 「○○ですね。」
 「私も○○よく行きますよ、今度一緒に行きませんか?」
 「○○というお店あるでしょ。」
 「ああ、私も行ったことありますよ。」
 「あそこの紅茶って変わってませんか?」
 「そうそう、チョコボールティーなんて(笑)」
 デートの誘いと、話題作りができるわけだけれど、慣れるまでは失敗も多いもの。

 で、次のテーブル、連続で若い人だったが、こちらは直ぐに話題は尽きてしまった。あとはルーチンでテーブルを流したみたいなもの。
 次は、最初に目を付けていた人だ、さっき話かけそうになって止めたのが悟られていないだろうか。と思ったら、「次からは女性のほうが移動してください」の声
(  ̄□ ̄;)!!

 男性が移動する場合は、男性が話をしたい女性の所に行く事ができるが、女性が移動すると、お目当ての女性が自分の所に来てくれるかどうか分からない。
 そこで、私は、一番隣のテーブルに近いところに陣取った、こちらのテーブルに女性が移動してくる時、殆んどの女性は私の近くを通過する事になる。
 そして、その女性がこちらに向かってくる時、その正面に少し移動して挨拶した。そして、なかば強引に自己紹介カードを示した。
 これは、「あなたを狙っています」という明確な目的を持つ意思表示。これをどう評価するかは、相手次第だけれどね。
 でも、外見は別にして、話してみると感触が今ひとつだった。仕方ないね。

二次会では盛り上がったし、電話番号も何人か教えてもらったが、その後連絡は取っていない。
大阪に帰るといつもの日常が待っていた。

今日は、これでおしまい。m(_ _)m


 ろばさんの部屋 > 結婚相談所なんてこわくない > お見合いパーティー体験記


CoQ10バナー