薬剤師国家試験合格体験記
4回生になって
 私は、何とか、やっと、進級できた、そして進級発表の当日に研究室に配属になった、有機合成の研究室だったけれど、3回生と4回生の間に春休みというものはなく、翌日から研究室の生活が始まった、しかし、最初は基礎学力が無いので私は自宅謹慎となった(やっぱり春休みだ・・)。
 しかし、要するに研究室でいきなり実験を始める人たちもいるが、私は研究室外でフリーの自習という事だし、宿題も頂いた。
 英文の文献を訳す事だけれど、これには力を入れた。というのは、この程度の文献は辞書なしに日本語とおなじように読めなくてはならないけれど、当時の私には、そんな事できなかった。
 全文訳せた所で研究室に復帰。実はこれを期に私は辞書なしに殆んどの文献は読めるようになった。それから、クラム有機化学とかも一通り読んだ。半月くらいの事だったけれど、かなりの基礎学力がついた。
 私もテーマを与えられ実験に入ると、自分には実力が無い事がわかってくる。毎日夜10時から11時まで研究室で実験というと大変そうにおもうけれど、有機合成は結構反応待ち時間があるので、大学にいる間は、割と時間があった。
 反応待ち時間といっても、不要になった器具洗いとか、TLCで反応の進み具合を見るとか、やる事は多いけれど、それでも実験中にテニスをすることなどはできた。慣れてくると、次のTLCとかUVランプでの確認はいつごろか分かるものだ。初めは、頻繁にしていたが、「この反応は2時間は何もしなくて大丈夫。」とか分かるし、一日の段取りも要領よくなってくるからね。

薬剤師国家試験対策始まる
 薬学部の4回生といえば、国家試験対策。私の実験は中断して、上の先生たちの学会にあわせて、2週間ほど毎日朝9時から夜6時まで旋光度ばかり計らされていた。しかし、5〜6時ごろに帰れるのはうれしい。
 旋光度測定が終了した5月なかば、「おしらせ」が研究室に来た。国家試験対策の大学指定テキストが決まったのこと。それと、6月初めには国家試験模試があるとの事。
 私は、研究室の学生の代表者だったので、教授に問い合わせた「このテキストって全員購入強制ですか?国試対策って大学として行うのですか?」と。
 実は私は、その頃、自分の勉強方法に自信を持ってきた頃なので、国試対策のテキストは自分で選びたいとおもっていたし、今の実験でも忙しいので、ゼミとかは嫌だったからだ。
 回答としては、テキストはただの推奨で、強制ではないとのこと、国試対策は研究室によって実験などの性質が違い、とれる時間も違うので、ゼミは研究室単位で行うということだった。
 私は、大学指定のテキストは使用しなくて、自分で探す事にした。私の研究室以外の研究室は大学指定のテキストを使用してゼミを行うことになったが、私の研究室は代表の私がフリーを宣言し、早速本屋に行き薬学ゼミナールという予備校のものを購入した。奇遇というか、私とは意志の連絡なしに、別にテキストを購入した同じ研究室の人たちも薬学ゼミナールの人が多くて、大学指定のテキストを購入した人は数人だった。
 おまけに私は実験が忙しいのを理由にゼミには不参加ということにした。大学では午前中に講義、午後にゼミということになるけれど、ゼミは周1回くらいだったろうか過去問題の演習中心だったらしい。しかし、お昼休みに酒の飲みすぎの人が多数いて中止になることもしばしばあった。

私の勉強方法
 私は薬学ゼミナールのテキストを購入したけれど、最初はそれに手をつけるわけではなく、国家試験の過去問題集を真っ先にした。先に解答を見てから問題集を20問単位でやった。
 解答よりは、解説をよく読み、理解、暗記につとめた。そして、分からない時になったり、知識の不足しているところだけ薬学ゼミナールのテキスト(トレーニングテキストといいます)をやった。
 20問がつらい科目は10問単位にしたけれど、自分の頭で考えて一問一問丁寧に解き、正答率90%になるまで同じ問題を繰り返し解いて、正答率90%になったら次の問題に移っていった。
 最初はあまり進まなかったけれど、実験待ち時間とか、家と合わせて1日5時間以上勉強すると、途中から同じ事が何回も問われているということもあり、2週間で過去5年分は潰せた。
 はい、模擬テストでは学生250人中20番以内に入れた。実は、私の研究室の人は一部の例外の人以外は50番以内だった。
 実際は誰が最初に始めたか分からないけれど、ほぼ全員問題集のみしていたからだ。大学指定のテキストは1科目500〜700ページは軽くあるし、そんなテキストしてたら6月の模試では最初の百何十ページもできてないのがあたりまえだしね。
 時間無いのに、そんなテキストはやっていられない。うちの大学は4回生の夏ごろ国試と言い出すが、それまでは何も国試対策はしない。研究中心の大学で4回生になっても大学としては国試対策はしない。1回生から国試を意識している大学とは違うのだ。4年間かけるなら、そのテキストでもいいけれどね。
 先に問題集というのは国試の常道なのだし、それができないなら、泣きながら分厚いテキストをやるしかないだろう。
 上の教官の人たちは「国家試験が目標なんて目標が低すぎる。目標が低いから国家試験程度の知識でも苦労するのだ。」と言っていたし、まったく、その通りだとおもう。
 
 実は、当時の薬剤師国家試験は過去問の使いまわしが多くて、過去問の解答丸暗記でも、ある程度点がとれたけれども、それだけでは合格しないし、それって運まかせの要素も多い。それをした人も多かったけれど、私はやっぱり解説をよく読んで納得して解いたので過去問暗記というバカな事はしていない。
 それって、不安でしょ。薬学部出て国試落ちたらしゃれにもならないしね。

 偉そうなこと書いたけれど、結局問題集で覚えるというのは、どんな試験でも常道だとおもう。問題集の解説でわからない事があつてから、テキストをやるのだ。

 問題集→トレーニングテキスト

 この繰り返しに尽きる。

でも、トレーニングテキスト
 6月の模試をなんとか切り抜けた私は、問題集だけでも足りるとおもったけれど、やっぱり国試は何が出るか分からない。過去問題の問題集だけでは穴があるようにおもい国試過去問題10年分をしたら、一通りトレーニングテキストに目を通す事にした。これが8月ごろ。
 午前4時に起きる。これを続けた。大学の近所に下宿していたので、朝食を入れても、午前4時から8時半までの間に4時間は勉強できる。そして、9時までには大学に着き講義、そして研究室、この間にも少しずつ勉強できる。帰宅後も勉強すると1日10時間以上は勉強できるのだ。
 薬学ゼミナールのテキストは1科目あたり300〜400ページ、大学が指定したものは、その倍は分量がある。まずは、一番薄い薬事法規を2日で撃破。麻薬取り締まり法とか、覚せい剤取締法とかは、一度きっちり覚えれば得点率は高い、薬事法、薬剤師法も簡単だけれど、一部ひっかけ問題に注意すると、配点は低いものの満点が狙える科目だ。
 私は薬理学、薬品化学は得意なので、薬物学も簡単に撃破。薬剤は苦手なので、生物薬剤学で少し苦戦したが2ヶ月程度の4時起き生活で、トレーニングテキスト、過去問題集は何回も繰り返すことができた。
 10月までには、私の国試対策は終わった。結果は言うまでも無い。