テキスト選び
 
テキスト選び
 学生の人や、社会人で資格試験の学校に行っている人は、講義に使っている指定のテキストがあるので、それがメインとならざるを得ません。
 講義、授業などで使用されるものであり、中高生などでは学校の定期テストもそれから出るでしょうから。もっとも理解すべく、また理解しやすい位置にいるテキストだからです。
 
 それで話はここからなのですが、その学校のテキストがどうしてもわかりにくい場合や、やさしすぎる場合はどうなるのかということに答えなくてはいけないでしょう。
 また、社会人が資格試験のためにするテキスト選びも考えなくてはいけません。共通して言えることは何を目的としているのかをはっきりさせないといけないということです。


初学者用(苦手科目用)テキスト
  少し難しいのですが例文を読んでみて下さい
例文
 SNYfloodとは、3ウエイハンドシェークでSNY信号を送信した後、相手サーバーからのSNY/ACK信号を受け取った後にACK信号を送信せずに、短期間に多量のSNY信号を送信する事によって相手サーバーのハーフオープン用のバッファを溢れさせて相手サーバーの送受信を不能にする攻撃で、対策としては、ハーフオープン用バッファのサイズを大きくしておくか、接続確立の待ち時間を短く設定しておく事が挙げられます。
 
 ネットワークセキュリティーの知識のある人なら、不親切な説明だなと思われたでしょうが、ここでは、初学者用のテキストの条件をあぶり出そうとしているのでご容赦を。

 この例文の説明では意味がわからなかった人がいると思います。しかし、ある程度知識のある人には、これくらいの説明で十分なのです。

 わからなかった人は、何がわからないと思いましたか?
 もちろん、専門用語の意味でしょう。しかし、それぞれの専門用語の意味が分かっても、やっぱりわからないと思います。

 ここでは、前提として3ウエイハンドシェークというものが分からなくては駄目です。簡単に解説しますと。

 インターネット上で、コンピューター同士の情報のやりとりをする時はお互いを確認する必要があります。
 私たちが友達に電話をかけるとき、相手の電話番号をプッシュして、相手を呼び出さなくてはなりませんね。「もしもし、△△ですが、○○さんですか?」「はい、○○です」という具合に通信の相手を確認します。
 ネットでも同じで、AというコンピューターがBというコンピューターからデータを貰う時は、Aというコンピューターから「もしもし、Bさんですか?私のユーザーがデータを見たいと言っているので見せてください。」という申し込みをします。これがSNY信号です。
 そこでBは「いいですよ、見せてあげましょう。それでは、ネットワーク上のどこに送信していいか確認したいんですけどいいですか?」と相手のAに送信先を確認するための信号を送り返します。これがSNY/ACK信号です。
 そうすると、Aは「応答ありがとうございます、送信先はここでいいですよ。」と返事をします。これがACK信号です。
 これらのやりとりがあってから、ネツト上でコンピューター同士の情報のやりとりができます。

 
 上の例文を読むのには、専門用語の意味だけではなく、上述の解説の知識がある事が前提となります。
 講義では、教科書に書いてある概念を理解するのに必要な知識を受講者に説明するのです。もしも、そこまで解説した本となると量は膨大になるのです。そこで、初学者に必要な本は、

 基本用語の意味が解説されている事。
 概念の解説だけではなく、その概念を理解するのに必要な予備知識を解説しているもの。


 という2つの条件が満たされなくてはなりません。
 しかし、それを十分に満たすと分量が多くなりすぎるので、多くの本は、初心者に理解しにくいものや、重要度の低いものは飛ばしてしまっているものがほとんどです。
 分量の多い本は確かに知識の漏れがすくないのですが、学力がない間は全体像の概念を身に付けることも重要であり、最初の基本概念を書いている本で分量の少ない本がいいと思います。そうでないと、学校などのメインのテキストもやらなくてはならないのですから、辞書的に使う参考書という用途でない限り分量の多いものはできないと思います。

テキストにもレベルはある。
 テキストも講義と同じようにレベルがあって、今までどれくらいの予備知識をもっているかによって選ぶテキストが違います。
 私が高校生のとき旺文社の標準問題精講という本が一流大学の合格者オススメテキストの上位ランクにありました。
 評判のいいテキストだったらきっといいに違いないと私はそれを購入しました。その本を買った私はさっそく新しいノートを作りその日から始めたのです。それで、辞書を引きまくり、解説を何回も読み、最初は頑張ったのですが、まもなく挫折しました。
 結局その本をまともに使ったのは浪人してからでした。

 受験雑誌なんかに一流大学合格者が勧める本が紹介されていますが、あくまでそれは一流大学受験のレベルだから言えることなんですね。高校生の1年2年生が手におえるものではなかったわけです。
 特に私は英語が駄目だったからなおさらですね。
 普通の受験生は自分の受ける大学などのレベルの人がオススメのテキストにするべきなのです。

 なんども書きますが、講義も本も、限られた時間や紙面のなかでそれぞれの目的にかなう内容を盛り込まなくてはなりませんし、ある程度の知識のある人が読む本は、その本を読む以前に前提となる予備知識などは解説することはありません。
 それをしたら膨大な量になりますし、レベルの高い受験生にとっては、全部のページを読むと時間の無駄が多すぎるのです。

 化学では前提として化学記号や化学式くらいの基礎は当然覚えていてほしいし、化学結合のしくみなどはもう知っていてほしいわけです。書いていても、要点だけになり、それ以上のやさしい解説はもっと基礎的な本にまかせているわけです。

完璧なテキストはない
 テキストには完璧はありません。テキストをしていてわかりにくかったり、他のテキストに書いていて自分のテキストに書いていない部分があったりしますが、これはどの本でも同じです。
 それは、ターゲットとする読者のレベルに合わせて書いていたり、その本の目的により項目ごとに強弱はありえるからです。
 そして、その部分は前提となる知識がない人はもっと基本的なテキストを参照したり、こまかい知識や解説が必要な人は、そういうことを書いた本を参照することを前提に書かれています。
 そのために辞書的に使う参考書があるわけで名前の通りなのです。

 何かあるたびにテキストを変えたがる人がいますが、それはキリがないことなので、一度わかりやすいと思って決断したテキストは何回もやり通すべきです。
 テキストを変えるとわかるようになったという話もありますが、少なくとも3回はやってみて判断するべきです。まだ基礎をやっている場合だと、どんなテキストでも3〜5回は読まないとわからないのが普通ですから。
 
 もちろん、レベルアップでテキストを変えるなら、それは問題はないわけです。

 つまりは、何でもいいから自分で少し読んでみてわかりやすそうなものを選べばよくて、雰囲気だけでもいいのです。どんなテキストでもちゃんとやれば他のテキストでも同じことということに気付くはずです。

テキストの量
 知識を補充するには大きな本がよく、万全を期したいならそれもいいでしょう。しかし、浪人を何年でもして無限の時間を使えるならともかく、普通は入試の時期とか年齢とか期限というものがあります。したがって、それぞれの立場で、入試や資格試験の日までどれくらい時間があるのか計算し、それにあわせて勉強量を考えなくてはなりません。

 それと、基礎知識は何回も繰り返して身につくものです、同じテキストを何回も繰り返すことを考えなくてはならないでしょう。

 たとえば300ページのテキストと100ページのテキストがあるとします。100ページのテキストでも普通は80%くらいの試験範囲はカバーできるでしょう。逆に300ページのテキストでも100%はカバーできません。

 ここで、同じくらいの能力のある人がいて100ページのテキストを使う場合と、300ページのテキストを使う場合を考えると、300ページのテキストを使った人が3分の1やり終えたところで100ページのテキストを使った人は、一通りやり終えているわけです。そのままテストを受けたら結果は明らかですね。

 とにかく、時間やお金の問題もあるでしょうけれど、単純に自分の条件を考えて最大の効果をあげられるものがいいわけです。

自分で選ぼう
 実際にあった話ですが、ある日のこと私が法律の本を物色していると中年の男性が店員に「どの本がいいの?」と言って困らせていました。
 最初は私もジョークだと思っていましたが、聞いているとその中年男性は法律系の資格を取りたくてこのコーナーに来て、本気でどのテキストが一番いいのかと店員にくいさがっていました。
 全く、困った人だな、そんなの店員でもわからないし、私も知らん。どの本の著者も自分の本が一番と思って出版しているでしょうし、売れ筋の本というのはありえるでしょうが、その人にとってわかりやすいとは限りません。また、その人のレベルによってもいい本というのは違うでしょう。

 やはり、自分で現物を見て選ぶべきで、レイアウトという内容と関係ないことまで相性というか理解が違ってくるのです。文体による相性というものもあります。
 筆者との相性やレベルが合っているか確認するためにも自分が興味のあるところなど何ページか本気で読んでみる必要はあると思います。

 受験体験記で出てくるお勧めの本は、その合格者が合格レベルに達してから何回も読むのにいい本として薦めていることもあり、初学者や中級者では手に負えないものも多いのです。少なくとも初学者は、わかりやすそうなものなら何でもいいと思いますし、上級者になると自分で判断できるので悩む必要はなくなるでしょう。