暗記しないと何も始まらない
 
講義をいくら受けても無駄
 世の中にはハードスケジュールで勉強している人がいます。小中学生に多いのですが、学校で夕方まで授業、夕方から夜遅くまで塾で授業講義。深夜まで勉強。しかも勉強のほとんどはノート作り。
 本当に大変ですね。これではいつ勉強できるのか心配になります。

 「いつ勉強できるのか」って?朝から深夜まで勉強しているではないかといわれるかもしれません。しかし、勉強は暗記です。暗記していないと試験で何も書けません。
 講義をいくら受けても暗記していないと駄目です。サブノートを何冊作っても暗記しないと意味がありません。テキストを変えても駄目です。暗記していないと1点もとれません。

 もちろん、理解することは前提にあるのですし、そのために講義を受けているのでしょうが、暗記のない理解というものは意味がありません。暗記していなくて何を理解しているといえるのでしょうか?
 いけないのは、意味も分からず丸暗記することです。しかし、理解したことは暗記することが必須なのです。

 いくら理解しても、暗記していないと1点も取れないのです。

 逆説的に言うと暗記なくして理解はありえないと思います。私も講義を受けたりしていますが、講義の説明も前提知識がないと全くわかりません。
 「不法行為の使用者責任は報償責任なんですね。」という説明があったとしても、報償責任とは何かわかっていないと理解できませんし。学校の化学の授業でも、Hが水素、Oが酸素などということはもう知っていることが前提で、いちいち前の知識を復習したりはしません。
 化学なら例示しやすいけれど、他の科目でも同じです。だから、その講義の受けるための前提となる知識はあらかじめ勉強しておかなくてはならないのです。
 しかも、さきほどの化学の例でいくと、講師が「酸素はO。」と説明しても、それで暗記できるわけではなく、別に自分で暗記しなくてはならないわけです。
 理解だけという存在は無く、暗記していないと理解したとはいえませんし、講義を受けるに当たっては暗記している前提知識が必要なわけです。

 そうであるなら、講義を受けたなら、こんどは新しく講義で理解したものを暗記するのは当然の作業で、暗記してから初めて講義を受けたといえるわけです。
 後の暗記がなければ講義は受けなかったのと同じです。いくらかの知識は残るかもしれませんが、それでは講義が効率がいいとは思えませんね。

勉強は暗記か
  ありきたりの見出しで申し訳ないのですが、学力の要素として暗記というものの比重が大きいのは確かです。試験では暗記量がものをいいます。何度も書きますが試験本番では、試験までにどれだけのものを暗記してきたかが問われるのです。
 勉強は理解している事が大切だと言われますが、本を読んでみて理解していると思っていても、その理解している内容を暗記していないと、試験では何も書けません。
 特に、数学や法学などの理論科目でいえる事なのです。この点、思考科目は暗記ではないという誤解が学力向上を妨げているケースがあるようです。予備校などの講師に数学は暗記だという人がいるそうですが、それはある意味正解です。結局、何回も問題を解くから暗記できてしまっているのです。
 数学理論も、定義、公式、問題に対してのアプローチの仕方など、理解したものを記憶しているのです。

 語学は暗記ではないというのは正しいです。しかし、それはある程度のレベル以上の話です。英単語を全く暗記していなかったら1点もとれないでしょうし、逆に、英文で全ての単語の意味がわかっていたなら、それほど悪い点数はとれないと思います。
 文法と言うけれど、それは、短文を、文法を意識して幾つも暗記すると身についてくるのではないでしょうか。文法の公式を理解しただけでは何の役にも立ちませんし、語法の暗記に次ぐ暗記によって文法は身につくと思われます。
 数学と語学について触れましたが、基本的にはどの科目も同じです。まずは暗記なのです。

 それと、教科書を読んだあと問題集を解けないという事がありますが、それは当然なのです。
 どの科目にしても、最初から問題は解けることはありません。最初から自分で解法が分かるのは大学者くらいのもので、一受験生には無理です。
 私が問題集は、先に解答をよく読んでから解くべき(特に数学、理科)というのはこの事なのです。教科書で理解した理論をどれだけ正確に暗記しているか、それをどのように使うのか、それを覚えておかないと問題は解けないのです。教科書には、理論は載っていますが、それをどのように使うのかは書いていない事が多いのです。しかし、問題集には、それが載っています。それで、問題が解けないときは、先に解答を見るべきなのです。

理解か暗記か
 世の中には丸暗記という言葉があります。確かに、意味を何も理解しないで丸暗記だけで試験を通ってしまう人もいます。たとえ理数科目でもそれは出来ます。
 しかし、理解していない知識を丸暗記することは、時間の浪費です。特に、資格試験などで仕事に使う知識なら理解していないと使えないでしょう。
 もっとも試験対策上も丸暗記は不都合なのです。知識を問うだけとか、簡単な計算問題の解き方を暗記することはできるでしょう。
 しかし、論述試験や高いレベルでの応用問題のとき、意味を理解していないと理論矛盾を犯していても、それに気づかないのです。
 暗記している知識を書いているので本人は充分書けたと思っていても、知識的に部分点はもらえても、全体としては理論矛盾で間違っているので正解という評価は受けません。

 暗記か理解かという問題自体が意味がなく、理解も暗記もどちらもしなくてはならないのです。