ライバルなんていない
 
 よく、受験予備校や参考書のキャッチフレーズに「ライバルに差をつけろ!」と言うものがありますよね。私が学生の時には、そんなコピーを、よく目にしたものです。
 しかし、考えてみればおかしなことですね。ライバルって誰なのか考えてしまいますよね。少なくとも学校での自分のクラスには、あんまりいないでしょう。

 合格のボーダーラインでの争いならば、全国を探せばライバルはいるかもしれません。しかし、そのライバルもその日になってみないと誰がライバルになるかわからないわけです。もっとも、そういう意味ならライバルがいるのは情けないことでもあるのですね。
 そうだとすると、いったいどういう意味であんなコピーで学生を集めていたのか、一度書いた人に聞いてみたいものです。

 それと、試練は格闘技ではないので、他の受験生がこちらに攻撃を加えてくることはないのです。
 自分でどれだけ問題を解けるのか、それを考えればいいだけです。不合格だったのは、自分が問題を解けなかったこと以外に何も理由はないのです。合格ラインを上回っていればそれでいいのです。
 その日の体調や、問題によって合格ラインの上や下の点をうろうろしているのでは、ライバルに負けたというより、そもそも実力がなくて合否は運次第というべきなのです。
 もっとも、それを承知で受けているのでしょう。挑戦するということ自体はいいことだと思います。

 確かに、上から何番目という意味では、自分だけの要素で順位がどうにかなるものではありませんが、やっぱり、現実には、自分がどれくらい勉強して、どれだけ理解できて、どれだけ書けたかというだけのことです。
 勉強しても成績の悪い人がいますね。私もそうでした。今から考えると、勉強が足りなかったのですが、まあ、本人は勉強していると思い込んでいるわけです。恐らく、多くの人は勉強不足だから成績が悪いわけです。

 しかし、世の中には本当に勉強しているのに成績が悪い人がいます。その原因としては、暗記していないという場合があります。
 多くの教師は、勉強は理解しなくては駄目といいますが、これを誤解しているわけですね。確かに理解することは前提ですが、暗記しなくていいとは誰も言っていないのです。「丸暗記は駄目。」とはいいますけれどね。

 試験で答案に書くには、当然暗記していなくては書けるわけがないのです。

 話はかわりますが、「ライバルに差をつけろ」というキャッチフレーズはいいとしても、クラスメイトの勉強を邪魔するとか何の意味もないことをする学生が、本当に少数ながらいますから、変な誤解をしてしまうものだと思うのです。
 そういう誤解はしないにせよ、他人の勉強や成績が気になる人もいますが、成績は自分しだいで決まるものですから、他人の成績を気にしてもしかたないのです。