倉木麻衣ツアー2005 LIKE A FUSE OF LOVE
ツアーレポート(1)

                            

倉木麻衣ライブツアー2005
LIKE A FUSE OF KOVE  緒論


倉木麻衣の2005年のツアーは奈良からスタートした。
ツアー初日の会場となった「なら100年会館」は
倉木麻衣がデビューした年に落成され、
歩みを同じくする倉木麻衣の希望で実現した。

思えば、2005年のファンクラブイベントも、
倉木麻衣が初めてファンの前に姿を現した
Zeep Osakaからスタートした。

今年の倉木麻衣は、今までの歩みを
最初から一歩一歩確かめるように進んできた。

立命館大学を卒業し、
専業のプロとして、新しいスタートをきった倉木麻衣。
果たして、ライブツアーでは、どんなステージを見せてくれるのだろうか。

課題

今回のライブツアーでは、倉木麻衣にも問題がないわけではなかった。
まず第一に、バンドメンバーの交代である。
永年バンドを勤めたEXPERIENCEがいなくなり、
新メンバーとなった。

ライブ前には、アルバムのレコーディング、ファンクラブイベント、
ラジオキャンペーンなど全国を飛び回り、
ハードなスケジュールをこなしており、
ライブの準備は万全か、
新メンバーと、どれくらい練習ができたのか、不安はあった。

第二に、最近のCDセールスの低迷である。
ニューアルバム「FUSE OF LOVE」の曲が中心のライブとなるのだが、
その「FUSE OF LOVE」のセールスも、かんばしくない。
また、従来、倉木麻衣は新譜の歌いこみが足りない感もあったので、
どれだけ歌えるかも不安があった。
特に今回は、時間も少なかったであろう。

しかし、実際にライブツアーが始まると、
上記の問題について見事にクリアしていた。

もちろん、新メンバーと倉木麻衣と完璧なチームワークがとれていたかというと、
遺憾な面はあったけれど、
実際はPAの問題であることが多かったように思う。

ツアータイトル

ツアータイトルの「LIKE A FUSE OF LOVE」は、
直訳すると「愛の導火線」という意味になる。

倉木麻衣は、人と人の心のつながりを大切にしたいと、
このツアーのコンセプトを述べた。

アップテンポな曲で会場を盛り上げ、
ファンの心を一体にした後、
バラードを中心に聴かせる構成は、
ライブの後、やさしい心になって欲しいからだというのである。

実際のライブの進行では、
アップテンポな曲とバラードの配分は、
当初の意図どおりにはならなかったが、
概ね成功したといえよう。

ツアー前半では、ライブ中、オーディエンスが全員で手拍子するコーナーがあり、
「このツアーの目的は、会場のみなさんの心と心の繋がりを作りたい。」
という動機を述べたときもあり、
「ここで、みなさんのリズム度チェックをしたいと思います。」
というにとどまることもあった。

新曲「Growing of my heart」がセットリストに入ることを意識した頃から、
ツアーの途中で手拍子のコーナーが無くなったが、
ファンと倉木麻衣が相互に意思を通じている実感があったコーナーだけに、
最後まで存続して欲しかったと思う。

他のアーティストに比べて公演時間が短いのだから、
あと10分や20分は公演時間が延びてもいいと思うのだが、
どうだろうか。

倉木麻衣やメンバーの出演料、会場の使用時間、著作権料の問題もあるが、
倉木麻衣のライブは、最高水準であり、6000円は安すぎると思う。
また、S席、A席などの種別も検討した方がいいと思う。

概略

「なら100年会館」からスタートしたライブツアーであるが、
なら公演では、バックバンドのパンチある演奏と、
倉木麻衣の力強い歌で始まり、
当初心配されていた準備不足という指摘は杞憂であった。

しかし、細かい点では遺憾なしとは言えず、
バックバンドと倉木麻衣の歌が、噛み合っていない感じは否めなかった。
また、なら、名古屋ではPAの問題が指摘された。
東京国際フォーラムでは、PAも含めて一応の落ち着きが見られた。
とりわけ、東京国際フォーラム2日目は、
今ツアーまでの倉木麻衣の成長が、よく見ることができた。

その後、札幌では最高のライブをしたと思える
東京国際フォーラム2日目のレベルが維持されており、
北海道の気候は、倉木麻衣の体調に対しても良き影響を与えたように見えた。
さらに、札幌公演では、前髪を切り髪型を変えた。
そして、札幌公演ののエンディングで新曲「Growing of my heart」が流し、
新曲の存在をファンに知らせることとなった。

その新曲であるが、次の倉敷、広島公演でワンコーラスながら
ライブで披露することとなった。

そして、仙台、富山、新潟公演では、
倉木麻衣は今ツアー最高のライブをすることになる。
とりわけ新潟公演は絶好調という言葉が当てはまるライブであった。
さらに、新潟公演では、新曲「Growing of my heart」が、
初めて、バックのスクリーンで歌詞が表示され、フルで歌われた。

もう、こうなったら倉木麻衣の勢いは止まらない。
気候の良い九州に渡り、福岡、長崎では、
絶好調だった新潟に劣らないライブを展開し、
毎回、少しずつライブを改善して積み上げてきたものを見せた。

そして、「ダンシング」を応援歌として採用してくれた
サッカーの徳島ヴォルティスのホームタウン鳴門でのライブ、
鳴門は、都会に住む者の感覚としては小さすぎる街で、
一瞬、ここで倉木麻衣のライブがあることが信じられない気がしたが、
倉木麻衣は、徳島の人、鳴門の人への感謝を込めて歌った。

倉木麻衣のライプツアーは、鳴門で終わり、
残るは、大阪城ホール公演と、日本武道館公演のみとなった。


セットリストについて

2004年のWishツアーでは、序盤の尼崎、びわこ、京都の3公演は、
別のライブツアーと言えるくらいセットリストの変遷があった。

今回のツアーのコンセプトが、倉木麻衣のパワーを前面に出すのであれば、
事前には、昨年のツアー初日が参考になると考えたが、
実際のツアーでは、「心と心のつながり」がコンセプトであり、
アルバム「FUSE OF LOVE」の曲中心ということで、
セットリストの上では、大きな変化はなかった。

当初のコンセプトということでは、
「なら100年会館」でのセットリストが参考になる。

なら公演のセットリスト

1.ダンシング
2.Key to my heart
3.Everythings's All Right
4.P.S MY SUNSHINE
5.LOVE SICK
6.You look at me
7.Love,needing

8.Don't leave me alone
9.駆け抜ける稲妻
10.I sing a song for you
11.happy days
12.明日へ架ける橋
13.Time after time
14.Secret of my heart

15.Dericious Way
16.Stand UP
17.Feel fine!
18.always
アンコール
19.Stay by my side

20.Love,Day After Tomorrow
21.chance for you
22.Honey,feeling for you

後のライブで、若干セットリストは変わったが、
変更点は、アンコール前後の曲をいじったくらいである。
Honey,feeling for youの位置が苦慮されていたように思う。

それと、Stay by my sideが東京国際フォーラム2日目から
セットリストから外れ、武道館2公演まで温存された。

当初のコンセプトとして、「人と人との繋がり」を作り、
最後は優しい気持ちになってライブ会場を後にして欲しいというなら、
なら公演でのように、Honey,feeling for youを
最後にもってくるので良かったと思う。
chance for youも、最後を締めくくるのにはふさわしかったと思う。

どうして、alwaysを最後の曲にしなければならないのか、
これは疑問点であろう。

ただ、倉木麻衣が常に皆に愛を与えているということを主張し、
みんなにも、そうして欲しいという意味を込めているなら、
alwaysが倉木麻衣のライブ最後の曲という位置を占めるのは納得できよう。

最終公演セットリスト
1.ダンシング
2.Key to my heart
3.Everythings's All Right
4.P.S MY SUNSHINE
5.LOVE SICK
6.You look at me
7.Love,needing

8.Don't leave me alone

メンバー紹介

9.駆け抜ける稲妻
10.I sing a song for you
11.happy days
12.明日へ架ける橋
13.Time after time
14.Secret of my heart

15.Dericious Way
16.Love,Day After Tomorrow
17.Stand UP
18.Feel fine!


アンコール後

19.Honey,feeling for you
20.Growing of my heart
21.chance for you
22.always

ダブルアンコール

23.Stay by my side

倉木麻衣のライブのセットリストで言うと、
大ヒット作である、初期三作は、セットリストから外しにくい。
新曲を中心に、そのときそのときのライブを楽しむオーディエンスもいれば、
昔のヒット曲を生で聴きたいという要求があるのも確かなことだろう。

ただ、ライブのコンセプトによって、選曲や曲順が決まる中、
どうしてもセットリストに入れざるを得ない定番曲があると、
その定番曲の扱いには時として苦慮することもあろう。

その意味ではLove,day after tomorrow、Stay by my side、
Secret of my heartは外せないし、
定番化しているStand Up、alwaysも外せないだろう。

Stay by my sideがセットリストから外れたときは、
勇気ある決断だと思ったものだ。

もちろん、倉木麻衣にとって最も大切な曲のひとつであり、
最後の武道館公演でのダブルアンコール用に温存していたのは
うなづける選択であったと思うのだが、
東京国際フォーラム2日目から、大阪城ホール公演まで
この絶対の定番曲を外してツアーを敢行したのは、
今後、ツアーコンセプトに合わない定番曲を外していいかという、
ひとつの試みになったと思う。

それと、ひとつ苦言を言えば、
どうして秋のツアーなのにFeel fine! なのか、
Stand Up、Feel fine!でアンコール前が終わるのは、
昨年のツアーと同じであるし、少し疑問が残った。

特に、10月終わりとなると、
街では早くもクリスマス商戦の前哨戦も始まるので、
10月後半はWinter Bellsをどこかで使ってもよかったと思う。


つづく
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