Rits Mai Kuraki Memorial Live 2005

長蛇の列
 その日は朝方から雨天模様だった、しかしライブの時間はおそらく晴れるかもしれないという予報だった。私は、午前中仕事だったが、大津は大阪からそんなに時間はかからない。勤務の後JRに乗り込む。普通は京都で人が少なくなるのだが、かえって人が多くなった。
 南草津でほとんどの乗客が降車した。やはり同じ目的の客が多かったのだろう。

 南草津の駅を出て私の目に飛び込んできたのは、ロータリーを3週するほどの長蛇の列。
「倉木麻衣コンサート」行きの直行便と書かれた紙を貼ったバスが運行されていた。
バスを待つ時間と渋滞で南草津から立命館まで1時間近くくかかってしまった。

 立命館の広大な敷地を通りライブ会場へ。開演には時間がある。
 このライブの開催が発表されてのインタビューで、倉木麻衣は「同世代が相手のライブなのでパワーを前面に出したい。」というようなことを答えていたが、どのようになるのだろうか。
 先のツアーでも当初は倉木麻衣のパワーとダンスを前面に出そうとしていた。それをもう少し実現するのだろうか?個人的には2003年秋のSpecial Live のように少しゆっくりとしたバラード色になっているライブが好きだが、倉木麻衣はアップテンポの曲でも人を感動させる内容があり、それはそれで期待できる。

ライブ開演
 自分の指定エリアで開演を待つ。そして・・・・大ビジョンに映像が映し出される。
赤い火の玉のような太陽のようなものの映像。開演だ、今日はどこから倉木麻衣が登場するのか。
 そして、花火と共にSimply Wonderfulのイントロが流れ倉木麻衣登場。

1.Simply Wonderful

 出だしがSimply Wonderfulは意外な展開だったが、パワフルなライブを期待させる。
パーマヘアーの倉木麻衣と衣装も度肝を抜いた。
 Simply Wonderful は、CDで聴く限り私の中では評価が高くなかった。しかし、これほどビートが利いてリズミカルに歌われるとは思っていなかった。聴いていて文句なしに乗ってしまえる。

 たとえば街角で黒人がドラムを叩いていたとする。他の楽器のメロディーがなくても、やっぱり日本人では不可能なくらいに黒人のリズム感は高くてドラムだけでも引き込まれてしまうだろう。
 Davit C.Brownも、その中でも特に優れた1人で子供の頃からゴスペル活動をしていた。そのDavit C.Brownのビートに乗せて全てのメンバー、倉木麻衣が小気味よく聴衆を乗せる。これはもう日本人のレベルではない。開演でいきなり聴衆を引き込んでしまう曲の配置だ。しかも、倉木麻衣の歌はそれだけでなく繊細さが保持されているのだ。

MC
「こんばんは、倉木麻衣です、今日は素敵な1日にしたいと思います。
最後まで楽しんでいってください。」

2.Delicious Way

 そして次は倉木麻衣の代表作Delicious wayこの曲は私の最も好きな曲のうちの1つだ。
何故か倉木麻衣の上品さと落ち着いた女性の面が現れる曲だと思うからだ。
先のツアーではショートバージョンであったので不満が残った曲である。
今回はたっぷり聞かせてくれた。

3.Secret of my heart

 Secret of my heartは、ライブでも定番の曲だ、私が倉木麻衣を初めて知ったのはこの曲であり、このプロモーションビデオを深夜番組で初めて見たとき「この人についていくことになる。」と思った。それだけに私の思い入れも大きい曲なのだけれど残念ながらライブではCDほどの感動が無い。
 特に歌唱的に十分に歌えているとは思えない。それと曲の終わりの部分で、私の個人的意見としては、Loving You tourでの時の終わり方の方がいいと思う。今の終わり方は、ちと派手すぎる。
 以前のライブよりは技術的に上手くなっているけれど、心が伝わるか?という点では少し疑問ではある。

 とはいうものの、それは継続して倉木麻衣の曲を聴く私の視点であり、当日は初めて倉木麻衣のライブに来た人が多かったのだし、そういう人が聴くと上手い部類には入るのだろう。
 また、倉木麻衣のライブは初めての人が多いという点からすると、大ヒット曲であるけれど歌詞がテロップで流れたのはよかった。なにぶん、英語交じりの曲は、ややもすると聴き取りにくいことがあるからだ。

4.Can’t forget your love

 個人的にはCDのような静かに歌う方が好きなのだけれど、この曲は先のツアーとおなじで途中からアップテンポになっていて倉木麻衣の力強い声を前面に出している。アップテンポ仕様は、倉木麻衣が「パワーを前面に出す」というコンセプトを持っている以上仕方ないことかもしれない。
ただ、今日の驚きはアップテンポ仕様なのに単に声を伸ばすような部分でも繊細にメロディーを奏でていること。パワーと繊細さを併せ持つ逸品のできだった。繊細さという部分では先のツアー以上だったかもしれない。
 特に前半の部分は原曲どおりに静かに歌われていたけれど、実はこの部分が最も倉木麻衣の声の伸びを活かした部分になっていて、じっくりと聴かせておき、突然アップテンポで全てのバンドがフル活動して「本当に世界が動き出した」というところを見せ付ける。
 誰が考えたか知らないけれどいい感覚だと思う。

MC
「こんばんは、すごいですね。(2万5000人の観衆を見て)
今日は雨が降っていたのですが無事に晴れて
こんなに大勢のみなさんと一緒の時間を過ごせて本当にうれしいです。」
「私もこの立命館大学の4回生として産業社会学部に籍を置いているのですが
今日はみなさんと一緒に楽しい時を過ごし思い出にのこるライブにしたいと思います。」

だいたいは「風のららら」の前にMCを入れることが多いけれど
「風のららら」は次へのの弾みがつくような曲になっているのかもしれない。

5.風のららら 

 風のらららは私が最も好きな曲の一つ、海の匂いがする曲だ。歌いこみはまずまずだけれど最初の部分はCDのように、ゆっくりと余裕をもって歌ってほしい。あと終盤で少し不満な点がある。
 それでもこの曲は文句なしに気持ちが伝わるし、歌唱についての細かい議論は意味が薄いように思う。この曲では以前に本当に風が巻き起こった感覚にさらされたことがある。

6.mi corason

mi corasonは、最初CDで聴いたときは嫌いでなかったが
今はそんなに好きな曲ではない。
mi corasonは「私の心」という意味なのだけれど
あの人が全てだったということを繰り返し訴えても
あまり伝わるものがないからだ。
まあ、ライブとしては一緒に手拍子をして乗るしかない。
ただ、ダンスやノリと歌詞の内容はマッチしない。

7.Time after Time

この曲は日本の歌詞というより詩としては
史上最も美しく、広大な時間概念をもつ曲である。
意味は難しいが、永遠に抱く想いをもって
輪廻転生のうちに再びめぐり逢うことを花見堂に願いをかけているという。

意味も深く広大無辺だが
この曲での倉木麻衣の美しき歌い方は、
聴衆を歌の世界に引き込んでしまう。
先のツアーと同じなのだけれど
歌唱力の点で倉木の成長ぶりを伺わせるものだ。

8.The Rose

何回聴いてもいい曲だ
倉木麻衣のパワフルな声で聴衆を魅了する。
歌詞の意味は分かりにくいが十分伝わるものがある。

全部英語詩の短い曲だけれど
別れた友達を思い涙が薔薇に落ちる。
その友達とは次のhappy daysの人がモデルだろうか。

9.happy days

これも倉木麻衣の代表作の1つ
現実に歌手生活に入って会えなくなった友達を思って作った曲といわれる。
最初の悲しげなイントロは印象的で
このとき私も「あっ」と思った。
歌詞に込められた思いがよく伝わってくる。

<メンバー紹介>Everythings's All Right

ここで、倉木麻衣退場。
EXPERIENCEによるEverythings's All Rightをバックミュージックに
メンバー紹介をJeffreyが担当。

10.PERFECT CRIME

黒装束で胸に花をあしらった衣装に着替えて倉木麻衣再登場。
いきなりアップテンポ2連発。
PERFECT CRIMEは、かなりインパクトのある曲だ。
ただ歌詞が聴き取りにくい感じがするので
その点は今後の改善を望むとしても
メンバー紹介後の後半のオープニングとしてはいい選曲だ。

11.NEVER GONNA GIVE YOU UP

の前のツアーと同じくNEVER GONNA GIVE YOU UPは、
アップテンポにアレンジされている。
ラップの部分のリズム感、全体の雰囲気の作り方といい
少し日本人のレベルを超えかけている。
後半部分は少し他の日本人歌手ではライブでは真似できないのではないかと思う。

12.I don’t wanna Lose you

ダンサー2人との軽いダンス(振りだけ)を入れた曲。
先のツアーではこの2人のダンサーと一緒にダンスして歌う曲が数曲あった。
この曲は私的には可もなく不可もなくというところだけれど
倉木麻衣が楽しそうにダンスするので楽しみにしている曲の一つではある。

13.Love,Day After tomorrow

最初に、L・O・V・Eの指文字を何回か聴衆に向けてやってみせる倉木麻衣。
言わずと知れたLove,Day After tomorrow
ちょっとLoving You tour をほうふつさせる。
ただ、あまり倉木麻衣のライブに来たことがない人は結局最後までできなかったりする。
しかし、この曲で会場は一気に盛り上がる。
もう少しCDと同じような歌い方でいいと思う。

14.Stand UP

そして「みなさん楽しんでますかー。」の声に観衆が応じ
「では、一緒について歌ってください。na〜na na na na〜、say!」
舞台の端から端までは何メートルあるのだろう
グランドの幅に近いので、かなりあるだろうが
倉木麻衣はところ狭しと走り回り歌う。

こんなに時間をとってもいいのかと思うくらい
サービス満点のna na na コール
そして、「最後にもう一度」と言って、全然最後でなかったりする。

お約束の、みんなで「Stand UP」も回数が多かったような気がする。
2万5千人の聴衆が一体になって盛り上がる。

15.Feel fine!

「それでは次が最後の曲です、みんなジャンプ、Feel fine!」
これも倉木麻衣の代表作のひとつで1960年代を思わせる
中年以降の人にとっては懐かしい雰囲気の曲。
ただし、現在でもノリのいい曲としてとらえられている。
もう会場の一体感と盛り上がりは最高潮となった。

最後に「ありがとう」といって観衆に手を振りながら舞台を去り
その後、エンディングの演奏をEXPERIENCEのメンバーが演奏して退場。

<アンコール>

本当は、ここは手拍子とともに「Mai−K」と叫ぶのであるが
「マイケー、マイケー」と叫んでいた人もタイミングが揃わず
あまり倉木麻衣のライブに来たことがない人の
「アンコール」という声も多かった・・・。
しかし、これは仕方ないだろう。
特に雰囲気を悪くするものではない。

舞台が明るくなって倉木麻衣とメンバーが再登場。

MC
「アンコールありがとうございます。16歳でデビューしてからちょうど5年が経ちました。」
「今日は40周年を記念して、こういう場をもてたことをみなさんに心から感謝しています。
本当にありがとうございます。昨日から朝もずっと待ていてくれた皆さん、
立命館大学関係者のみなさん、今日はこういう場を作ってもらいありがとうございました。
このライブを生涯忘れることはないと思います。この気持ちを、今の気持ちを大切に
倉木麻衣頑張ってゆきたいと思います。どうぞよろしくおねがいします。
それでは、新曲の「明日へ架ける橋」を聴いてください。」

16.明日へ架ける橋

いつも思うのだけれどEXPERIENCEの演奏は素晴らしい。
また、この「明日へ架ける橋」は、その度に歌い方に工夫がみられる。
先のライブツアーの初期の頃は歌いこみが今ひとつで伝わるものがなかったが
今ではかなり感動できる。

17.Stay by my side

Stay by my sidefは、先のツアーと同じ前半アカペラバージョン
楽器の演奏がない分、自由度が高い。倉木麻衣の感情が爆発する。
もう言うことのない声の伸び。
倉木麻衣の魅力がたっぷりと堪能できる。

18.always

今までの何もかもがこの一曲に集約される。
今回、初めて倉木麻衣のライブに参加した人も多かったが
最後の、alwaysで会場は一体化した。

alwaysを歌い終わると花火が上がり
それを少しの間見上げる倉木麻衣
メンバー全員が前に出てきて整列して挨拶。倉木麻衣1人が舞台に残る。

終わりの挨拶
「今日は、ここびわこくさつキャンパスで40周年を記念して、
こんな素敵な場を作ってくださり、
皆さんが来てくださって本当にどうもありがとうございました。
それでは皆さん気をつけてお帰りください。」

ライブ後の番外編

興奮のうちにライブは終わった。
いい出来だ、ファンクラブの人気投票では
先のツアーの東京国際フォーラムのファイナルが
ベストライブ1位になっていたが
今回のメモリアルライブのできはそれ以上だ。

さて、大変なのはこの後
私はCゾーンだったためライブ会場からの退出は一番後で
ライブ修了後2時間近く退出制限で待たされた。

ただ、待っている間に少しいいこともあった。
舞台をあとにした倉木麻衣がグラウンドの横の丘になっているところに出てきた。
観衆に向かって何度も手を振りお辞儀を繰り返した。
係員に促されつつも
またしても立ち止まり手を振りお辞儀する倉木麻衣。
とてもその場を立ち去りがたい様子であった。

聴衆の方も倉木麻衣から感動とパワーをもらったけれど
倉木麻衣の方も観衆からパワーをもらったのだ。
今まで倉木麻衣も平坦な道のりを歩んできたわけではないが
多くのファンがライブ会場に足を運び倉木麻衣を支えてきた、
その感謝を今もずっと胸にとどめている。

会場の観衆も立ち去り難かったけれど
倉木麻衣も立ち去り難い思いを抱いていたに違いない
倉木麻衣はそういう人だ。

セットリスト

1.Simply Wonderful
2.Delicious Way
3.Secret of my heart
4.Can’t forget of my heart
5.風のららら 
6.mi corason
7.Time after Time
8.The Rose
9.happy days
<メンバー紹介>Everythings's All Right
10.PERFECT CRIME
11.NEVER GONNA GIVE YOU UP
12.I don’t wanna Lose you
13.Love,Day After tomorrow
14.Stand UP
15.Feel fine!
<アンコール>
16.明日へ架ける橋
17.Stay by my side
18.always


ろばさんの部屋 > L・O・V・E DOOR