Reach for the sky

 この曲はNHKの朝の連続ドラマの主題歌となった
倉木の代表作のひとつである。
ライブでもよく歌われる、綺麗な旋律の静かに鑑賞したい曲だ。

倉木は、以前ライブのこの曲のMCで
「苦しんで、どうしようもなく苦しんでいる人はいませんか?私もその中の1人です。」
「苦しんでどうしようもないとき、自分自身にカツを入れるために書きました。」
と述べたことがある。

alwaysと同じく苦しみながらも前に進んでいこうという趣旨の曲だけれど、
ただ、実際はalwaysのように、
「時に成功し、時に失敗する」でも「大丈夫だよ」と
許容する気持が入っているのとは少し違う。

それどころか、この曲では全てを受け入れてしてしまうのである。


森鴎外の「山椒太夫」という作品で
悪逆の限りを尽くした山椒大夫が最後は富み栄えるとあるが、
原作を読んだ人は、この結末に疑問をもったかもしれない。

この作品の鍵は文殊菩薩にあるのだけれど
文殊菩薩の恵沢によって、つし王は母親に再会でき、
無事に元の身分に戻れた上、
山椒大夫に囚われていた人々も給与制になり暮らしが楽になり、
ますますよく働くようになり
それゆえ山椒大夫も富み栄えた。

善を勧めて悪をこらしめるという発想であれば
ありえない結末だ。

しかし、それは人間から見た視点なのである。
森鴎外は文殊菩薩の解決として、
ありのまま全てを肯定し、全ての人が幸せになる解決をしたのである。

Reach for the skyは、空に届くもの
即ち天を意味している
人から見れば山や谷があるが天から見れば
それは平坦なものと大差ないのである。

苦しいこと、嫌なことがあるが、
それらを全て受け入れ許し、心を開く、
そしてどんなことでも「アハハ」と笑ってしまう。

ところでReach for golden ringは、結婚指輪と思われるが
これは天によって認められる永遠の結婚を意味する。
広大無辺な天の心によって必ず幸せになれるという確信がある。

いかなる困難があっても、時が流れても
決して変わらないものがあるという主張は
倉木の憧れであり確信でもあろう。

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