always

倉木麻衣のライブでは、アンコール前の最後の曲と、ライブ最後の曲は
Stand Upか、alwaysとなることが多い。

CDではツーコーラスが終わった後は
バックコーラス中心の終奏のようになっているが、
ライブでは倉木が力強く歌う。

倉木のライブでは、観客は静かに曲を聴くか手拍子をするだけの曲が多いが、
この曲は倉木と一緒に聴衆全体が片手を左右に振る振りがあり、
ライブ会場の一体感を盛り上げる曲である。

この曲のテーマは「今からでも遅くないよ」という
単純でわかりやすく歌いやすいものだが、
あまり歌詞は重要でないとも言える。
 
倉木が繰り返し歌っているテーマである、
「誰でもかならずたどりつく。」「苦しいときこそ夢はかなう。」と
絶対にあきらめてはいけないという歌詞にはは励まされることが多い。

人が何かをしようとするときは、命がけでやらなくてはならない(Stand Up)、
どんなつらい目にあっていてもいつかは笑える日がある(Reach for the sky)、
今からでは遅くないか?
こんなことをしても損では?実現不可能な夢ではないのか?
そういう疑問をすべて否定している。

何もしなければ、そのまま時間だけが通り過ぎてしまう、
時間は取り返しがつかないし、二度と戻ってこない
何もしないまま人生を終わらせてもいいのかという問いかけにもなっている。

過ぎ去った時間は戻ってこないけれど
今からでも遅くないよと呼びかけている。

特に「苦しいときこそ夢は叶う」という部分は、
実際に何かをしようとしている者にとってとても励みになる。

Reach for the sky のところでも書くが
倉木はライブで
「苦しんで、どうしようもなく苦しんでいる人はいませんか?
私もその中の1人です。」と述べたことがある。

このとき私は衝撃を受けた。
倉木麻衣といえば収入もすでにこのあと生活に困らないくらい稼ぎ、
歌手としての地位もある程度あり、もうこのあとは無理に売り込みをする必要もない。
 どちらかというと順風満帆な人生を突き進んでいるように思えていたのに、
今でも苦しんでいるという告白をしたことはとても意外だった。

この歌詞で「この一瞬ごとが明日の君になる」というのも、実感として説得力がある。
社長クラスの人が書いた本でも
「君は5年前になにをしていたか。それが現在の結果としての君だ。」
ということと同趣旨がいくつもの本で書かれている。

何もしていない人には実感がないかもしれないが、
すでに立ち上がって何かをしてている人には
涙が出るくらいの芯を突いた言葉なのだ。

若い女性歌手の言うこととして軽くあしらう者もいるかもしれないが、
彼女は現時点の地位にいることそのもので間違いなく実践者であり、
驚異的な成長を見ても他人ではわからない努力の跡が伺えるのだ。

この曲は応援歌であるとともに癒しの曲でもある。
倉木はビートルズのレット・イット・ビーが好きで、
それを自分なりに繰り返し作りなおして表現している
という説もある(なおここを参照。)。

時に破れ、時に失敗しても、それは何でもないことだと
頑張ったことへのねぎらいと
全力で走り続ける人への、ひと時の癒しの歌でもあるのだ。

ところで、この歌詞を聴いていて
上述の歌詞の理解だけではわかりにくいところがある。
努力して最終地が「君と出逢うまで」という部分である。

これは倉木の別の曲でもあることなのだが、
倉木は恋愛以外のテーマの曲でも自分を支えてくれる人を想定している。
「明日へ架ける橋」でも「誰かが手をさしのべている」
しかし「傷つく勇気もち」自分で歩もうとしている、
その場合でも「気付けは君がそばにいる。」と
常に自分を支えてくれている誰かの存在を意識している。

恋愛の歌としたら、君と正面から向き合える日までということになろう。


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