炭疽菌について
最近は、テロなのかどうかは、はっきりしないのですが、炭疽菌を含む白い粉が郵送されてきて、各地でパニックになっているようです。 いたずらというのも多いみたいですが、本物と偽者がいろいろ存在すると、捜査のかく乱になるし、負担も大きくなるので、いたずらでは済まない物なのです。 もし、それの為に、会社等の業務が停止すると、莫大な損害賠償を請求される事位は想像力を働かせて欲しい物ですね。 さてと、話題の炭疽菌はどんな物なのか簡単に書いてみます。
炭疽菌 炭疽菌は、通常は土壌や動物の排泄物の中にいます、したがって、自然の草を食べる牛や馬、山羊、羊とかが感染する事が多く。普通は、動物しか問題にならない病気なのです。 人間がこれに感染するケースというのは、炭疽菌に感染している動物を食べたり、動物の排泄物が食品に付着している物を食べたりと、食品の安全性の確保が出来ていない国で起きるようです。 我が国のように、衛生状態のいい国では、自然に人に感染する事はありません。 人間の感染の場合は以下の場合があります ○皮膚からの経皮吸収 ○消化管に傷がある場合、食肉よりの感染 ○炭疽菌を吸入してしまい、肺から感染する場合 一般的に潜伏期間は、12時間〜5日間です
皮膚の場合 痛みの無い赤茶色の丘疹が現れ、そのあと、多数の肥厚した紅斑とゼラチン様の水腫が出来ます。そのあと、浸出液が出て潰瘍が出来ます。 これ以外に、リンパ節炎、倦怠感、筋肉痛、頭痛、発熱、嘔吐などが現れる事があります。
消化器官の場合 炭疽菌の毒素により、消化管で出血性の壊死を起こし、排出性腸間膜リンパ節へ病変が広まり、敗血症によって死に至る事があります。
肺で吸い込んだ場合 初期の症状はインフルエンザと同じです。そして、数日以内に呼吸困難が起こり、チアノーゼ、ショックが起こり昏睡に至ります。 出血性壊死性リンパ節炎、漿液血液状漏出、肺浮腫、胸水が発生します。
我が国では、炭疽菌は殆ど症例が無い為に、その診断が困難な事が予想されます。 治療方法としては、抗生物質を使用します。 プロカインペニシリンG エリスロマイシン クロラムフェニコール 等を使用します、用量は、年齢と、上記3タイプの感染の種類によって変わります。 特に肺から感染した肺炭疽の場合、通常ペニシリンGの用量は25万単位なのですが、肺炭疽では2,000万単位も使います(1日量)。その他の炭疽菌感染の場合でも、通常の2〜3倍の用量になる事があります。 肺炭疽の場合、殆どは助かりませんが、感染早期から、上記の抗生物質の大量使用によっては助かる可能性があるようです。
不審な粉末を見ても触れないという事は宣伝されていますが、吸入する事は致死的な結果を生みますので、白い粉を舞い上がらせないように注意しなくてはなりません。 吸い込んだらおしまいなのですから。
(2001年10月22日 記)
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