不景気はない
 
景気というが

高額納税者が増えたということで
日本経済が景気回復の段階に入ったという。
もちろん、それは正しいことだと思う。

ところが最近になって私は、
もともと景気は悪くないのだと考えるようになった。
というのは、資本主義の世界では
自由競争から勝つ企業と負ける企業がある。

とりわけ情報の流通が多い現在では
商品の事前の情報が勝敗を分けることになり
極端にその商品の、勝ちと負けがはっきりするようになった。

それと、私達は国内という視点で経済情報が与えられることが多いが
日本企業の商品が外国で作られたり
流通の競争相手が外国であることもあるのだ。

たとえば極端な話、国内企業が全て外国の企業に負けていると
政府が国内でどんな政策を打っても景気なんか回復しないのだ。
経済に関しては、世界流通で考えないといけないと思う。

ケインズ主義は、富の分配を一部の資本家に集中させず
社会一般にすることで、経済を回すという思想だが
一部の金持ちも、それで経済が回るので
大きく税金を取られても、
大企業が利益を独占できない仕組みでも納得していた。

しかし、現在では、
どんなに貧乏人に富を配分しても意味がないことがわかってきた。
(新保守主義)
経済は世界的に回っているので
国内での政策は経済での有効性が薄いということになった。

これが近年の競争の自由化という現象につながるのだが
そうはいっても、
いきなり自由競争の世界でとまどう個人や企業も多く存在していて
独自の競争力を付ける企業以外は未だに景気回復に至っていない。

これからは、国内の景気云々という理論は通用しない。
すなわち、時期を待っても景気は良くなるわけではない。

国際競争力を身に付けた企業は業績を上げ
競争力のない企業は業績を下げるだけなのだと思う。

どれだけの企業が競争力を身に付けたかということが
トータルのGDPなどに反映されるのだと思う。


プレミアムはどうして付ける

経済を世界規模で考えるにしても
小売業などは、その商圏で考えることになる。

小売業は、ある商品を仕入れ
それにプレミアムを載せて一般に販売する。
教科書によっては、付加価値をつけるという。

付加価値とは価値を付加することであり
消費者は、この付加された価値に対価を支払うことになる。

では、その商品に小売店が付加する価値とは何だろうか。

店舗の家賃とか、人件費が乗っているのだというが
少なくとも消費者にとって、それは価値ではない。

製造者から直接商品を受け取っても
商品自体の価値は何も変わらないからである。

商品の価値は意思によって決まるのだけれど
何に対して、価値を見出し、それに対して対価を払うのだ。

たとえば、70円で仕入れたものを100円で売るとき
店の取り分である30円というものに対して
消費者はどのような価値を見出すのであろうか。
現品の価値は70円で、単に商品を供給するだけなら
30円というほどの価値はないという場合もある。

生産者から消費者の手の届くところまで
商品を調達してくるという意味では
そのぶん価値を認めてもいいだろう。

付加価値というからには、やはりものを売るという作業では
あまり評価されないのではないだろうか。
結局ディスカウントや「おまけ」をつけて
「流通作用のみ」の価値でしか評価されなくなるのではないだろうか。

これからの流通というのは
流通独自で元の商品に価値を付加することを意識しなくてはならず、
そうでないと、本当に流通の手間賃しか評価されないだろう。


その前に不況なのかという疑問

今は不景気であるという人と、不景気ではないという人がいる。
バブル期が1980年代後半としたら
不景気としても、かなり長いと言える。

ただ、この間でも利益を上げて伸びている会社もある。
そして、グローバリゼーションとか新保守とか
そういう言葉が時々使われることがある。

これは、経済圏というか商圏が一国ではなく
世界規模になったということを意味するのは誰でも知っている。
しかし、これを別の角度で見るなら
一国の経済は、一国の経済政策では
どうにもならないことを意味している。

極端な話、日本企業が全て
海外の企業に全部負けていたらどうだろうか。
つまりは、不況というだけではないのだ。

今まで私は、リストラなど経費節減をすることは、
社員のモラルや会社への忠誠心を下げるだけでなく
積極的に稼げるように、理念や目標がないと意味がないと書いてきた。

営業時間を限界まで増やし、経費を削減し
それでもダメなら人件費を減らし
挙句の果てに、社員の犠牲を頼りに利益を確保しようとした。
その代わり社員の士気は低下し
早期退職を募集したら優秀な人から辞められてしまい
会社の方が見限られ、逆にリストラされてしまう。

経費節減すると、ある程度は資金繰りは楽になるが
合理化というのは、それに尽きるものではない。
積極的に利益を上げるようにしないと、
次々に経費節減を迫られて
「究極の合理化は倒産」という言葉どおりになる。

今、合併、M&Aが盛んになり
今回の会社法改正で
さらにM&Aを推進されるように改正されるのは、
国内企業の国際競争力を強化するために他ならない。

国際競争力がついた企業が増えると
一国の地域限りの商圏もお金が回ることになる。
当面の間は弱肉強食の世界となるが、
これは過渡的に仕方ないのかもしれないが、
負けた人へのセフティーネットが不十分な面はある。

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