最初に
 
はしがき
 昔のことなのですが、私は小売店で店長をしていました。店長と言っても小さなお店で、成績もよくありませんでした。だから、こうして記事を書いていても偉そうなことは言えません。

 ただ、店長をやるからには、商売の基本的なことは、かなり仕込まれました。今から見ると、かなり封建的で古風なものなのですが、やはり商売にとって大切なことだと思うのです。今は小売り業から離れてしまい、お客さんの目でしか見ていないのですが、合理化の名のもとに失われたものも多いと感じました。そこで、ここに改めて記事にすることにしました。

商業とは
 商業とは何か、人によって、いろいろな定義の仕方があると思います。太古の時代では、魚と肉の交換など、等価のものを交換した時代もあったようです。しかし、それは、お互いの生活のための知恵というもので、それで利益を得ようというものではありませんでした。
 やがて、通貨というものが発明され、物と貨幣を交換するようになりました。ところが、通貨というものは、肉や魚と異なり腐らず蓄えていられるものでした。
 やがて、豊作地で安い農作物を買い、凶作地で高い農作物を売るなど、時間や場所によって同じ物を高く売り、利益を上げるようになります。

 商業というと、物を生産地から消費地に運ぶ流通ということを思い浮かべる人もいるでしょう。しかし、基本的に商業とは、物を安く仕入れて高く売るということなのです。
 時や、地域の移動ということも、安く仕入れて、付加価値を付けて、高く売るということなのです。

付加価値とは
 付加価値とは何でしょうか。単に「物を安く買って、高く売る。」というのでは、株取引と基本的に同じになってしまうかもしれません。
 ここで、付加価値とは、商品の仕入れ代金に店舗の地代や人件費などを上乗せしたものという考え方があります。
 しかし、これは店舗サイドのみの理由です。顧客は、何らかの対価として、お金を払うのです。決して店舗運営の経費に対しては、お金は払いません。
 それでは、顧客が商品の元値以上の部分について支払う金額の対価とは何なのでしょうか。

 生産地に行かなくても、顧客が居住地付近で買えるということが付加価値だと言われれば、そうなのかもしれません。
 農作物が生産地に行かなければ買えないところ、居住地で購入できるというのは、恐らく対価を払うべきメリットなのでしょう。
 基本的に、どんな商品でも、そういう部分はあるのですが、顧客サイドから強烈に意識されるのは、活け魚など特殊な商品に限られるでしょう。

 顧客の生活へのプレゼンテーション、情報提供ということに付加価値を付けることも考えられますが、これは、個々の業種や店の方針によるでしょう。ただ、付加価値が付けられない店舗は商売としてどうなのかわかりませんね。

合理化というけれど
 私が小売業にいた頃は、まだPOSなどのシステムは、普及していませんでした。品出しなど、単純なことをアルバイトにさせることはありましたが、基本的に商品の発注などは正社員がしていました。今のように、コンピューターで管理するのではなく、ベテランの社員が個々の商品の売れ行きを掴んでいて、名人芸で発注していたのです。
 もちろん、昔を懐かしんでいてはいけないのですが、失われたこともあると思うのです。一度傾いた日本企業が外資に買い取られ、かなりサービスが向上し、経営が良くなっているケースを見ると、今までの日本人経営者は何をしていたのか疑問に思ったりします。詳しくは本編に書きますが、その部分がこの記事を書く動機となったのです。

はしがきの終わり
 私のサイトを訪れる人は、どんな人なのでしょうか。私は小売商としては引退していますし、あれから時間が経ちすぎました。また、専門家として、いろいろなデータがあるわけではありません。
 これから起業しようとする人には、昔の人の経験談として、少しは役に立つかもしれませんが、今の時代にマッチするのでしょうか。ただ、基本的なことは変わらないと思いますし、今は、それを忘れている企業も散見されるので、その限りで役に立てるかもしれません。


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