一流とは
 
一流の味  2005年05月24日

牛丼の吉野家が首位から陥落というニュースがある。

このニュースに関しての評価を見てみると、
「アメリカ牛にこだわったため。」
「他社のようにオーストラリア牛を使うなどの方策をしなかったから。」
「多角化をしなかったから落ちた」
というような論評で、若干否定的なニュアンスがある。

しかし、昔のテレビ番組で「愛の貧乏脱出大作戦」というのがあり、
それは、売れない飲食店の店主が達人のところへ料理修行をしにいき
店を建て直すいという内容の番組だった。

その番組での、いろいろなケースを見ていると
多芸にいろいろなものを出すのでなく一品で勝負させていた。

たとえば、「うなぎ屋」なのに「うなぎ」で勝負できず
居酒屋のおつまみのようなものも出したりし。
しまいには、何の店かわからなくなってしまったというようなものもあった。

結局、その主人に対して達人は「うなぎ」のみで勝負するように言い
うなぎ料理の修業をすることになる。

ここで何が言いたいかというと、
その店の柱になる商品は、他店では太刀打ちできない看板となるし、
それを守り続けることが、その店の柱になることは明らかだ。

吉野家の牛丼の場合は、日本最高水準で
これからも長く会社を支えるものである。
一時的な困難のために、今まで作ってきた牛丼の味を変えることは
自分の柱を傷つけることであり、
長い目で見ると得策ではないということだろう。

確かに数字は落ちた。
しかし、何十年も味への信頼を守るメリットを考えると
一時しのぎをしなかったことが、
やはり味への信頼を守ることになると思う。

数字が落ちたからと言い、単年度だけ見て
批判的記事を書くのは非常に浅はかではないだろうか。

一時的に数字が悪くて、何の意味も無かったり、
路線に誤りがあるなら、それなりの評価をしなくてはいけないが。

理由があるものかどうかは考えなくてはいけないと思う。


奇人変人

livedoorの元取締役が宇宙旅行することについて
ワイドショーで奇人変人という議論があった。

IT産業で成功している人にある傾向で
あたかもニートに対する病理的な現象と言いたいような論調で
少年の夢のように幼児性が抜けないと言っていた。

情けない論評だし、このような発言をする人が
テレビに出て識者ぶるのはどうかと思う。
与えられた現実を評価することしかできない
硬直した考えだと思う。

というのは、そのテレビだけれど
テレビを発明した人を考えてほしい。

この世にテレビというものが存在しないとき
家庭で遠く離れたところの影像を見るということを
誰が想像しただろうか。
おそらく想像しても荒唐無稽な戯言でしかなかったはずだ。

しかし、テレビを発明した人の頭の中では
すでに完成形がある程度あったと思う。
テレビというものが頭の中にあって
それを現実化するために何が必要かということを考えたはずだ。

モノ作り日本といわれるが
発明品や新製品、新しい技術というものは
現実の必要性という至近距離にあるものもあるが、
想像の世界でしかないものもあり
当然に現実離れした夢や発想から生まれてくるものだ。

むしろ、想像の世界のものの方が
現実の必要性から生まれるものに比べ
無からニーズを突然生むものとして
優れていると思う。

そういう発想が出来ないのに
技術の最先端を行くことが国是となっている日本の識者として
テレビでもっともらしい顔をするのはどうかと思う。


誰もやらない

私のもう別のBlogで、ファンクラブについて書いている。

この記事の中で、「小売店は顧客名簿を作る」
というくだりが書かれている。

小売店の運営ということでの経営のノウハウ本では、
「顧客名簿を作ること」というのが必須事項として書かれている。
ところが、意外なことに、これを実行している店は少ない。

皆さんも、いろいろな店を利用するだろうが
どれだけの比率で顧客名簿を取っているか思い出していただければ
大手のデパートや、一部のスーパー、化粧品店などに限られよう。

せっかく本で書いてくれているのに、どうして利用しないのか、
その店の経営者に聞かないとわからないことだが
利用の仕方やメリットを解っていないのではないかとも思える。
顧客名簿を作っているが年賀状くらいしか利用していないとかいうと
年賀状代の無駄だと思えたりする。

スタンプを何個押すと何円分かの割引券として利用できるというものがあり
それ自体はスタンプがたまるまでは、顧客が何回も来るので
それなりの意味がある。

そのカードを利用するとき連絡先と名前を書かせるのは名簿作りのためだが、
その後にDMすら来なくて、
何のために顧客に連絡先を書かせたのか意味がわからないものもある。

顧客名簿を作る目的がないのにテキストどおりにしただけだろう。
今書いたようにDMを出すという目的に使うなら
それなりの価値はあるが、DMの内容によっては、
自分の店に来ない人に出す方が効率がいいこともある。

名簿の使い方を詳しく書くと、
その手の本と同様の分厚いページを割かなくてはならなくなるので書かないが
ここでは、売り上げを安定させるために使うという場合を書くと。

会員カード、ポイントカードを作り、それに特典を付けて
繰り返し自分の店で買ってもらうために利用するのだ。

チラシ広告でも、顧客は店に来てくれるが
それは特売品を1回限り購入で終わりになることが多いので
チラシの効果は疑問であったりする。

ただ、今日の主題は名簿作りや広告のことではない。
今書いたように、知っていてもやらない。
知っていても意味を解っていないということが意外に多いのだ。

世の中には、ビジネスや商売など金儲けの本は多い。
もちろん、数千円の本と1回20万円くらいのセミナーでは
情報の有用性という点で差があるだろう。

ただ、数千円の本でも、
「こんなこと書いていいのか。」
というくらいの情報を書いていることがある。

しかし、ある著者は書いていた。
「ここまで書いていいのか、それではみんな金持ちになるのではないか。
心配はない。実際に実行する人は、ほとんどいないのだから。」

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