ライブドア関連(1)
 
勝者のルール

livedoorの堀江社長の株式取得云々言われ
経団連会長が一定の理解を示した。

いうまでもなく国のルールというものは強者が決めているのであって
議決権のない株式発行比率を全株式の半分まで認めるとか
現経営者の会社支配維持を意図したような立法がなされたりする。

今回の時間外取引もルールの隙間というよりは
最近になって、わざわざできるような制度を作ったわけだ。

これらは、当然金のあるものが勝つという前提に立っているし
こういうルールを作るのは絶対勝つ人の要望に応えているわけだ。
最近は企業再編ということで各業種で合併も多く
金のある者が勝つという原則で動いている。

資本主義社会なので、私は全くそれを否定する気はない。

ただ、常に金の力で勝つ側の人間が、
もっと金のある者に負けたとたんに
「金があると何でもできると思うなよ。」と言うのはどうかと思う。
まあ、今は常に勝てるという時代ではなく
経営者なら、あらゆる事態を想定するべきで、
堀江社長を非難するのは筋が違うであろう。

ただ、堀江社長も事前の根回しに問題があると思う。

もっとも、双方ともに株を取得した直近で
よく話し合っていれば、こんな感情合戦にはなっていなかったろう。

交渉と言うものは、何らかのメリットがないとテーブルに付けないものだ。
自分と組んだときは、こういうメリットがあるということを提示して
双方が喜んで組めるなら、
こういう泥仕合とか、株式を過半数まで占めてやろうとか
そんな必要はなかったのかもしれない。


金がある者が勝つ

先日livedoor の株式取得ことについて書き
「金だけで何でもできると思うなよ。」という発言に対して
私は批判的に書いた。

というのは、昨今各業界で合併が多く
私のとこの取引先も毎年のように、どこかは社名が変わっている。

合併と言うと、双方の経営者が話し合い
お互いにメリットを感じてというイメージもあるかと思うが実際はそうではない。
そういう対等合併は稀なほうであろう。

片方の企業が経営難になり合併ということもあるが
企業は赤字を抱えたくないので、銀行など国が主導した場合を除いてそれもない。
あるとすれば特殊な技術が欲しいとか、何らかのメリットがある場合だ。

実際は合併決議に必要な株式数を買われてしまい
合併決議ということを無理矢理されてしまうこともある。
そして、お目当ての特殊技術などメリット部分以外は捨ててしまう。

私の知っているところでも、吸収合併されてしまった後
吸収された会社の方の社員の役職が一つ上がり
ほとんどの人は1年以内に放り出された。

この場合は、相手が金だけで言うことを聞くというより
有無を言わさず力でねじ伏せ、おまけにリストラということで
生活基盤すら奪ってしまう。

リストラという単語は今や日常語だけれど
金を持つ者は、金の力で相手に言うことをきかせる以上のことをしている。
今回のように「金だけで何でもできると思うなよ。」と大衆の前で言えるのは
やはり、この人も強者だからだ。

中小企業の経営者だったら、それを言うことさえ許されないし
言っても報道なんてされない。

そういうルールで動いているのに堀江社長だけ言われるのは不公正な感じがする。

もっとも、このように「錦の御旗」をあげて大衆を味方に付けるのは
戦術としては、古来からよくある手なのだ。
自分が不利になったら応援を頼むというのは当たり前の作戦で
これに対しては堀江社長側も大衆に応援を頼むような戦術を取るべきだったし
多くのテレビ出演が可能だったのだから、そのチャンスはあったと思う。
その意味では失敗したのではないかと思う。


新株発行

livedoorの株式取得に関してニッポン放送は
新株引き受け権を大量に発行するという。

瞬間的に私は商法違反だと思ったが・・・・
うーん、禁止する条文が無い、私の勉強不足か・・・。

私が商法違反と感じた理由。

まず、言うまでもなく株主は会社の実質的所有者であり
所有者として株主総会での議決権を持つ。
でも、発行株式を倍にされると、議決権が半分になるので
株主の所有者としての権利を著しく侵害すると言える。

次に、株主は出資に応じて会社から利益配当を受けられる。
ところが株式発行数が2倍になったのに利益が同じだと
単純に計算すると、一株あたりの配当は半分になるので
株主に経済的損害を与える。
そこで、新株発行に関して株主にこのような損害を与えないように
既存株主には新株引受権というものがある。

しかし、会社の資金調達が緊急に必要な場合は
会社の存続が優先して機動的な資金調達ができるようにする必要もあるという理由で
必ずしも新株引受権を与えなくてもいいことになっている。

これには取締役会の決議が必要になっているが
だいたい会社の支配権を維持するために権限の乱用をするのは
取締役なので、ほとんど株主保護規定になっていない。

法としては、新株発行は会社の事業でどうしても必要な場合の株式発行を想定し
事業資金調達ということで合理性があれば
ある程度の株式発行は許容されるし、
増資の場合は既存株主も権利を守りたければ株式を買い増しすればよいので
この程度の規定で妥当ということなのだし、
特定の株主にのみ新株予約権を与えることも禁止されていない。

しかし、発行済株式を2倍にする新株予約権というのは
特定の株主に与えられるとしたら
他の株主は自営手段としての株式の買い増しをすることも困難であるし、
法の予定した想定外に不利益が大き過ぎる。
また、資金調達の必要性という自体合理性がない規模だと思う。

また、取締り役は所有者たる株主に代わり
株主の委任を受けて会社経営をまかされている者であり
会社の支配権を守るために新株発行するのは
株式会社の本質に反する。

また、取締役の行為を株式総会が監視することは
特定の者が会社を食いつぶしたり、散漫経営などが行われることを防止し、
会社経営を健全化する目的がある。
このことは、株主の財産権のみならず、
会社と取り引きをする債権者を保護するものである。
したがって、取締役会が支配権維持のために株式を発行するのは
株主総会の制度そのものの趣旨に反しているとしか言いようがない。

法の網目をくぐっているのはどちらだろうか?


結局、金がある者が勝つ

先日新株発行と書いたけれど実質的に見ての話で
話題は新株予約権だ。ただ、ここでは新株発行という。

新株発行で既存株主を害さないように
株主総会で取締役が発行しうる最大限の範囲は決まっている。
しかし、新しくできた企業が少しずつ株主を増やしていくならともかく
大企業が既存の株式を倍にする株式発行は前代未聞だ。

株式を倍増して経営陣が会社支配権を守れるなら
取締役はどんな経営をしても滅茶苦茶な決算を出しても
株主総会の取締役解任決議を免れることができることになる。

金があるか、誰か協力してくれる他者がいると
新株を発行して解任を免れてしまえる。
金がないと新株を引き受ける者がなく、あえなく解任となる。

まったく、「金さえあれば何でもできる。」というのは
livedoorの社長に宛てたものではなく、
フジの会長に、そっくりそのまま返すことができる。

それに、今回の増資は上場廃止を意味し
既存株主の権利は害されること甚だしい。

実際に新株予約権を発行し、新株が引き受けられると
これは金の力で相手をねじ伏せたことになるし、
特に一部報道にあるように
ニッポン放送へ「仕事を干すぞ」などの圧力も見逃せない。

1人の株主に全部新株発行するというのは
不公正な株取引より悪質でもある。

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